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内容説明
自分はここにいる、と誰もが言い始めることができるはず。みな本来、対等な存在なのだから。私たちが声をもつとき、歴史のなにかが変わるだろう。私も、あなたも、誰もがその主役なのだから。二人の芥川賞候補作家が交わす、圧巻の往復書簡。
目次
第1章 声と言葉のあいだ
第2章 動物とヒトのあいだ
第3章 持てる者と持たざる者のあいだ
第4章 文学と社会のあいだ
第5章 性と性のあいだ
第6章 国家と家族のあいだ
第7章 リアルとバーチャルのあいだ
第8章 いま、この国で生きるということ
著者等紹介
温又柔[オンユウジュウ]
1980年、台湾・台北市生まれ。2009年、「好去好来歌」で第33回すばる文学賞佳作を受賞。両親はともに台湾人。創作は日本語で行う。著作に『真ん中の子どもたち』(集英社、2017年、芥川賞候補)、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社、2015年、日本エッセイスト・クラブ賞受賞、2018年に増補版刊行)など
木村友祐[キムラユウスケ]
1970年、青森県八戸市生まれ。2009年、「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞を受賞しデビュー。小説に『幼な子の聖戦』(集英社、2020年、芥川賞候補)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
93
「台湾人だけれど、日本語とともに生きてきた。日本人ではないけれど、日本語に支えられている。」温又柔にとってヤドカリの殻にあたるものが、日本語である。「台湾生まれ、日本語育ち」の表紙に透明の模型を背負ったやどかりを作った現代美術家AKI INOMATAの十和田での展覧会のタイトルsignificant otherness 重要な他者性に、木村友祐だけでなく、彼女の小説で日本で暮らす外国籍の人々のことを想像する読者をも含み、作家として書くことの覚悟を感じる。「魯肉飯のさえずり」執筆中の往復書簡。2022/06/11
踊る猫
38
傷つく才能、というものもあるのかなと思った。男/女であることに傷つき、日本人であること/ないことに傷つき、流暢な「標準語」を扱えないことに傷つく。巷で流行る「冷笑」や「クソリプ」は、傷つかないことを探究した末の産物だろう。従って率直に政治やセクシャリティ、文学を語るふたりは分が悪い。みっともなく傷ついたことを語っているからだ。だが、その傷を負った経験や教訓を個から公へと繋げていくのが本来の人間の(作家に限ったものではない)作法ではないか。ふたりの生真面目な言葉が語る傷の記録は、なかなか生半可なものではない2020/12/11
千穂
33
温又柔さんと木村友祐さんの往復書簡。コロナやSNSについても語られ、まさに今の話題。温さんのアイデンティティを扱った「真ん中の子どもたち」が良かったので、図書館の新刊本コーナーの可愛いネコの表紙に惹かれて借りた。木村さんはネコ好きのようだが表紙の子はまた別の子ですね。2021/01/19
pirokichi
19
二人の作家が現代日本における民族差別、性差別、障害者差別など様々な問題について対話を重ねた往復書簡。読みながら二人の生真面目さに息が詰まった。何も疑問に思わず何も考えて来なかった自分が情けなくなって。読み終えて何かうれしかった。真摯さに胸を打たれ、二人の作品を読みたいと思った。国のために、ひとがあるのではなく、「ひとのために、国がある」、「当事者とはいったい、だれのことなんでしょう。ほかのアジアの人たちに優越心や差別心を抱いてしまう日本人は、加害者という意味での当事者ではないのでしょうか?」にハッとした。2021/02/09
K1
14
芥川賞候補の作家二人による往復書簡ーこの世界、まっとうですか?ーと聞かれて、「Yes」と即答できないのであれば、そのモヤモヤのヒントが書かれています。2020/12/29
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