内容説明
本書のねらいは、BREXITのプロセスの底流に潜む民衆の動きを正しく把握しながら、かれらが各々の局面でいかなる反応を示したかを明らかにすることである。その目的は、政治家やその他のエリートに対する民衆の反逆を浮彫りにさせることである。これによって、かれらがBREXITのドラマで主役の座を占めた姿を表に出すことにしたい。これらを通して、BREXITが今後のイギリスとEUにとって何を意味するかを考えること、これが本物の動機となっている。
目次
Brexitで問われているもの
第1部 イギリスの緊縮政策と総選挙(緊縮政策の経済的・社会的諸結果;二〇一五年の総選挙と保守党の勝利)
第2部 イギリスのEUレファレンダム(国民投票)(EUレファレンダムのキャンペーン;EU離脱派の勝利とそのインパクト)
第3部 Brexitの影響と交渉プロセス(Brexitとイギリスの政治・経済・社会問題;Brexitとイギリスの対EU関係;Brexitの交渉と総選挙)
Brexitが意味するもの
著者等紹介
尾上修悟[オノエシュウゴ]
1949年生まれ。西南学院大学経済学部教授。京都大学博士(経済学)。日本EU学会理事。2000年と2004年にパリ・シアンス・ポリティークにて客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプリント
7
イギリスのEU離脱を緊縮政策や移民政策が巻き起こした大衆による抵抗と捉えて分析しています。2018/05/29
お抹茶
2
保守党も労働党もEUも労働者を直視しない。離脱派の国家主権復活論は移民の排斥と表裏一体。イギリス内外の残留派はBrexitのネガティヴ効果を専ら経済面から訴えたが,有権者の多くは日常生活を脅かされていることを理解しようとしなかった。労働党中道左派は離脱派勝利が意味することを理解せず,コービンに辞任を迫った。国民にとって極めて重要なレファレンダムの再実行が,議会のみで決定されるとすれば,イギリスの民主主義は根底から崩れる。労働者は確信を持って離脱票を投じた。メイも人々の心情を理解しない。文章が英語的。2019/03/08
代理
2
どの問題も根っこは『労働者の自由移動』に突き当たる、という主張。保守党も労働党も民衆に寄り添えてないという指摘。労働者にとってはブレグジットは手段だが、二大政党はそれを目的化した齟齬がある。2021/08/08
けーすけ
1
レファレンダムのキャンペーン最中のイギリス国内の情勢など、FT紙を中心に、忠実に事実に基づいて、叙述されている。