福島第一原発メルトダウンまでの50年―事故調査委員会も報道も素通りした未解明問題

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  • サイズ B6判/ページ数 312p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750343150
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0036

内容説明

主力の緊急炉心冷却装置はなぜ使われなかったのか。住民被曝という最悪の事態を招いた福島原発事故から5年。その原因を過去にさかのぼって、取材・調査してきた著者がたどり着いた新事実。

目次

第1章 政府内部3・11のロスタイム(「国は私たちを国民だと思っているんだろうか」;テレビ用やらせ閣議で30分のロス ほか)
第2章 使われなかった緊急冷却装置(主力の緊急炉心冷却装置ECCS;福島事故の9カ月前に起きていた深刻な事故 ほか)
第3章 原発黎明期の秘密と無法(事故の危険性を深刻に受け止めた損害保険会社;実際の賠償金は保険金支払い上限の48倍に ほか)
第4章 住民軽視はそのまま変わらない(虚構に依拠した防災対策の最大の被害者は地元住民;国を信じて遅れた富岡町民の避難 ほか)
第5章 原発事故の進展は予測できなかったのか(「誰も経験したことがないから失敗した」は失当である;事故と被曝の過程は正確に予測されていた ほか)

著者等紹介

烏賀陽弘道[ウガヤヒロミチ]
ジャーナリスト。1963年京都市生まれ。86年京都大学経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。5年間の新聞記者生活を経て、91年から2001年まで『アエラ』編集部記者。同誌では音楽・映画などポピュラー文化のほか医療、オウム真理教、アメリカ大統領選挙などを取材。03年にフリーランスになり書籍を中心に執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

17
政府、民間、東電事故調にも、本書以外の原発本にも(恐らくは)ない重要な指摘が書かれてある。それは「なぜ津波が起こる前にECCSを動かさなかったのか」という事についてだ。これは福島原発メルトダウンの根本原因なのだが、本書以外に指摘したのを知らない。ところでECCSとは、緊急炉心冷却装置の事だ。似たようなものに、IC(非常用復水器)やRCIC(原子炉隔離時冷却系)があるが、各種事故調やその他原発本でも、それぞれの明確な解説がなされていない。というか、ICやRCISがECCSの一部といった誤った記述をしている。2016/11/22

Satoshi

15
ALPS処理水に関する著作が衝撃的だったので、烏賀陽氏の福島原発のドキュメントを読まねばと思い、中古で本書を購入。本作も驚きの連続。特に原発黎明期での打算、格納容器が破損しないことを前提とした避難計画、汚染量が判明してからの避難指示など、地域住民の軽視が良くわかる。主力となる冷却装置の使用が緊急時のマニュアルに無いことも衝撃的で、相変わらず大手マスコミは言及しないことばかり。著者のスタンスが反原発でないことも本書の信頼性を上げている。2023/12/11

Hiroki Nishizumi

6
父権主義、これに尽きるのかも知れない2022/05/12

Machida Hiroshi

6
本書は、著者が自分自身で丹念に関係者に取材を重ね、調査した結果をまとめた力作です。放射性物質は原発の敷地の外には出ないを前提として構築された安全基準や法体系が、福島第一事故を経た今でも根本的には変わっておらず、そして原因もあいまいなまま、誰も責任を取らず、おざなりの対策のみで避難計画もないまま、再稼働に突入していくこの国の行く末も恐ろしいです。本書は原発推進派にこそ読んでもらいたい本です。どうしても原発を使いたいならちゃんと国民の前にリスクを明らかにして万全の対策を準備してからにしてもらいたいです。2016/05/31

チバ

6
筆者自身が冒頭で記しているように、これはあくまでも途中経過報告書である。記述されていることが全て真実であるとは限らないが、フクシマの状況に関して、この調査記録書は一貫した筋を持っているように自分には思える。多くの人の目にこの本が留まることを切実に願う。 もしこの本に書かれていることが真実であるならば、福島原発における事故は災害によるものではなく、完全に人災、ヒューマンエラーである。日本の民主主義とは一体何か、現在の日本社会の歪みやガラパゴス的思考傾向はどうすれば改善されるのか、深く考えさせられる。2016/03/30

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