目次
序章
第1章 比較と理論の中のチェチェン紛争―本書の分析枠組み(本書の分析枠組み;紛争の発生とその特徴;紛争移行過程の問題:平和定着と紛争再発のメカニズム;紛争後の平和構築をめぐる問題:「未承認国家」;ソ連邦・ロシア連邦におけるチェチェン)
第2章 第一次チェチェン紛争とその後の課題(第一次チェチェン紛争までの経緯;第一次紛争の進展と紛争終結;マスハドフ政権誕生後のチェチェンにおける戦後課題)
第3章 マスハドフ政権の平和定着の試みと挫折(1997‐99)(マスハドフという指導者とその評価;対露政策;国内政策;地域政策;「外交」政策)
第4章 平和定着の失敗の多角的検討(紛争研究の視座から;対露交渉の視座から;国内環境の視座から;地域環境の視座から:ダゲスタン問題とのリンケージ;平和定着の失敗と紛争要因の考察)
終章
著者等紹介
富樫耕介[トガシコウスケ]
1984年生まれ。横浜市立大学国際文化学部卒業、東北大学大学院国際文化研究科博士前期課程修了、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。外務省国際情報統括官組織第四国際情報官室専門分析員(CIS担当)の後、日本学術振興会特別研究員DC2・PDを経て、現在、ユーラシア研究所研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
20
第一次チェチェン紛争後、民主的な選挙でチェチェンの大統領が選ばれたが、平和定着に失敗し紛争が再発した。本書は第一次紛争と第二次紛争の間の1997-99年の紛争移行期に焦点を当て、紛争再発が不可避となったそのメカニズムを解明している。ロシアとの領域をめぐる対立、チェチェン内部で正統な政治的権威をめぐる対立の二重の対立構造を提示し、政治指導者が複合的なディレンマに陥る構図を詳説。イスラーム急進派勢力の文脈における、ダゲスタン情勢とチェチェン国内問題のリンケージの内実は興味深いものがある。2023/08/05