目次
グローバル化の最前線が問いかける射程
1 人材獲得をめぐる各国の現況と政策展開(アメリカの高度人材に対する移民政策の変遷と現在の動向;シンガポールの人材獲得政策―都市国家の成長戦略とジレンマ;韓国におけるグローバル人材の現況と政策展開;日本のグローバル人材の受入れの現況と政策展開;国境を越える人材―その誘致をめぐる葛藤)
2 「グローバル人材」雇用と移動の現場から(討議・海外就職の可能性;大連の日本向けアウトソーシングと日本人現地採用者;日本企業における「ダイバーシティ改革」と外国人雇用について)
3 「グローバル人材」をめぐる諸論点(BRICs諸国からの高学歴移民の空間的可動性;グローバルシティ東京と「特区」構想―「国家戦略特区」の隠れた射程を考える;グローバル人材の育成をめぐる企業と大学とのギャップ―伝統への固執か、グローバル化への適応過程か;グローバル・マルチカルチュラル・ミドルクラスと分断されるシティズンシップ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ishida Satoshi
1
読了。移民・ディアスポラ研究をベースとした本。「グローバル人材」という手垢のついた言葉が広まってから久しいが、本書は高度専門職としてグローバルに活躍できる人材像と、政策的な定義、一般的なグローバル人材像とのイメージのズレや各国の人材育成政策の掲げる理想と現実が論じられています。米国、シンガポール、韓国における戦略的なグローバルレベルでの高度専門人材の育成が紹介されていますが、日本の難しさとして、政府や大学の育成戦略とは裏腹に、教育・訓練を受けた内容とキャリアとの互換性の乏しさが語られています。海外就職問題