目次
一枚の挿絵
序章 構築された「男らしさ」
第1章 ウィークネス・フォビアの形成―日清戦争から日露戦後期の『少年世界』
第2章 ウィークネス・フォビアの変容―第一次世界大戦から軍縮期の少年少女雑誌
第3章 ウィークネス・フォビアの再編―一九三〇年代から太平洋戦争期の『少年倶楽部』
第4章 ウィークネス・フォビアの実態―戦時の「少年」という実体
終章 そしてウィークネス・フォビアが暴くもの
著者等紹介
内田雅克[ウチダマサカツ]
1957年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程修了。横浜国立大学教育学研究科大学院社会系教育修士課程修了。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程社会系教育講座単位取得退学。早稲田大学高等学院教諭を経て、東北芸術工科大学芸術学部/教養教育センター教授(職場では新姓「山口」を使用)博士(教育学)。専攻は、英語教育・ジェンダー史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
11
大日本帝国時代(本書の言及は1895年から1945年の終戦まで)の雑誌言説や陸軍幼年学校などの教育実践により、軍国主義を支える男性性が構築される過程を検証した。「弱さ」を嫌悪するウィークネス・フォビアが男性性を構築する主要素になっているという指摘にオリジナリティがある。 男性間の暴力が肯定されるときには、男性の中の「弱さや女性性」を否定するという動機付けが働く。それを肯定してしまうのが軍隊である。体罰もいじめも私的制裁であるが、男らしさが国家権力に結びつき、暴力を肯定する特性に還元される構造が分かる。2021/05/04
ありさと
0
日清戦争後、太平洋戦争期までの少年雑誌に見られる「少年」表象の分析を通して近代日本における「少年」像「男らしさ」イメージの形成と変容を、その根底にある「弱さ」への嫌悪(「ウィークネスフォビア」)に注目して読み解く。男性視点の男性学としていわゆる「有害な男らしさ」を分析した本と言える。2023/05/31