国際協力と開発教育―「援助」の近未来を探る

個数:

国際協力と開発教育―「援助」の近未来を探る

  • 提携先に在庫がございます【僅少】
    通常、5~7日程度で出荷されます。
    ※納期遅延や、在庫切れで解約させていただく場合もございます。
    (※複数冊ご注文はお取り寄せとなります)
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【出荷予定日】
    通常、5~7日程度で出荷されます。

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫状況は刻々と変化しており、ご注文手続き中やご注文後に在庫切れとなることがございます。
    ◆出荷予定日は確定ではなく、表示よりも出荷が遅れる場合が一部にございます。
    ◆複数冊をご注文の場合には全冊がお取り寄せとなります。お取り寄せの場合の納期や入手可否についてはこちらをご参照ください。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●3Dセキュア導入とクレジットカードによるお支払いについて
    ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ B6判/ページ数 224p
  • 商品コード 9784750328119
  • NDC分類 333.8
  • Cコード C0036

出版社内容情報

国際協力の現場は今、従来の慈善型・技術移転型から住民参加型へと大きく変わろうとしている。「援助」とは何か、開発とは何か。国際協力と開発教育の歴史・著者の経験を振り返り、これからの姿を描き出す。関連年表、用語解説等を付した最良の入門書。

はじめに

序章 「援助」するということ
 一枚の看板
 「援助」する前に考えよう
 スポイルとジェラシー

第1章 援助と開発の歴史――タイを中心に
 タイのNGO活動の歴史――慈善型開発に始まる
 NGOの発展――技術移転型の時代
 北タイにおけるNGO活動の発展
 参加型開発の模索
 HIV/エイズとNGO
 エイズ教育と参加型学習
 チャチャワンの回想

第2章 PRA――参加型農村調査法とは?
 ロールプレイ「バーン村再訪」
 村落調査の問題点
 PRAの内容
 従来の「開発観」の転換

第3章 開発プロジェクトのタイプ
 慈善型プロジェクト=ニュー・ライフ・センター
 技術移転型プロジェクト=山地農業研修センター
 参加型開発=土地利用図づくり
 「居場所」の提供=エンパワー財団
 参加型学習=ピン川環境保全協力協会
 タイのNGOの課題

第4章 参加型開発とは何か?
 ハートの「参加のはしご」
 主体的な参加の状態
 参加型開発における「はしご」
 主体的な参加への「転換」
 プロジェクトの連続性・参加の不連続性

第5章 日本のNGOと参加型開発
 シャプラニールの誕生=慈善型援助の時代
 本格的な国際協力への模索
 ショミティ方式の発展
 ショミティ方式の行き詰まり
 参加型開発の模索
 見えにくいプロジェクト
 NGOの説明責任

第6章 日本の開発教育――開発問題をいかに伝えたか
 開発教育の始まり
 『たみちゃんシリーズ』『地球の仲間たち』
 注目される開発教育
 「貧困の悪循環」「援助と開発」
 開発教育の地域展開と参加型学習
 人権教育と開発教育教材
 地球的課題と開発教育

第7章 総合学習とESD(持続可能な開発のための教育)
 「総合的な学習の時間」
 開発教育のカリキュラムと教材
 学校・地域・NGOの連携
 九・一一事件と開発教育
 持続可能な開発のための教育(ESD)
 環境教育とESD
 開発教育とESD
 ESDの教材

第8章 参加型学習の系譜
 参加型学習の起源――グループワーク
 学習のコペルニクス的転換――ジョン・デューイ
 日本における「新教育」
 青年団と共同学習
 パウロ・フレイレと識字教育
 ローマ・クラブと『限界なき学習』

第9章 自分・地域・世界をつなぐ学び
 アクション・リサーチと子どもの参加
 池袋西口アクション・リサーチ
 新しい環境学習・地域学習
 PLAとアクション・リサーチ
 参加型学習による日本とタイの交流
 グローバル化にさらされるタイの農村
 地域づくりと参加型学習

終章 これからの国際協力と開発教育
 「アイ子」はどうしたらよいのか?
 援助・国際協力の行方
 国際協力をめざすには
 開発教育と参加型学習
 参加型学習の「虹」

 あとがき

 参考文献
 国際協力・開発教育年表
 国際協力・開発教育用語集


はじめに

 今、国際協力の現場が大きく変化しようとしている。それを一口でいうならば、従来の「お金や技術」を提供する援助ではなく、住民主体による開発を側面から支援するという方向である。しかしながら、日本の学校やマスコミなどでは、援助とは「お金やモノ」を現地に届けること、というような認識がまだまだ多い。日本でモノやお金を集めて「途上国」に贈るタイプの援助活動はもっとも頻繁に行われているものである。これは「慈善型援助」あるいは「慈善型開発」と呼ばれるタイプで、国際協力の世界では原点ともいえる活動である。しかし、こうしたタイプの援助には従来からさまざまな批判があった。それは、現地のニーズを十分に調査していない、住民の自立をかえって阻害するおそれがある、偶然的に始まり計画性に欠ける、などの理由による。
 さて、それでは「地元のニーズをよく聞き、もっとも必要と考えられる事業を計画的に行う援助」についてはいかがであろうか。これは「技術移転型」の開発プロジェクトといって、地元のニーズを受け止めながら、それを解決するためのプロジェクトに必要な資金や技術を外部から投入するタイプである。こうした援助のやり方は現在の国際協力の分野では主流派である。なぜそうした援助に問題があるのかについては本文にゆだねるとして、ここでは第三のタイプとして「参加型開発」が今もっとも注目されている国際協力のやり方であることのみを指摘しておこう。参加型開発は冒頭に述べたように、住民自身が自分たちの地域の課題を発見して、その解決に向けて行動を起こせるように外部から支援するタイプの開発である。
 世界の開発戦略がこのように大きく変化し、国際開発が「参加型開発」を志向しているこの時期に、しかしながら、日本の学校で教えられている「国際協力」も途上国でのボランティア活動を志望する人々の意識も「慈善型」の時代からさほど変わっているわけではない。筆者がチェンマイに在住していた一年の間にも多くのボランティア志願者が日本からやってきた。彼らと話していて気になったのは、北タイの開発の現場が住民主導の参加型開発をめざしているにもかかわらず、ボランティア志願者のほとんどが慈善型援助の発想から抜け出ていないことであった。現地で実際に活動していくなかで、彼らもこのギャップを理解していくのであるが、それには半年から一年もの時間がかかるし、その間にタイ側に迷惑をかけてしまうこともしばしばである。
 本書では、序章から第5章にかけて、タイとバングラデシュの事例を挙げながら、慈善型開発、技術移転型開発、参加型開発について順を追って解説していく。とくに序章と第2章ではタイの山奥の村の学校に寄付をした主人公「アイ子」の活動を追いながら、従来の援助活動の課題や限界を学んでいく。国際協力をめざす人ならば、アイ子の心情や活動を理解することは容易であろう。単にモノやお金を贈るというようなレベルの「援助」からは卒業した人、あるいはすでに国際協力の専門家として活躍している人でも、その活動の出発点は「アイ子」であったろう。アイ子とともに、対象となる村落(バーン村)で調査を行ったり、北タイの現地のNGOの活動を見ていくなかで、「援助とは何か?」「国際協力とは何をすることか?」をより深く考えていきたい。歴史的には、慈善型→技術移転型→参加型というように開発プロジェクトは変化しているが、実際には相手の状況によってそれらのタイプを使い分けることの必要性にも言及したい。
 第6章からは日本の開発教育と参加型学習の展開について述べる。開発教育は、日本の子どもたちや市民に対して、世界の貧困の実情や地球レベルの課題を理解してもらい、国際協力の必要性についての認識を高めるための教育活動として一九八〇年代にスタートした。国際協力が現地の問題を直接解決することをめざすのに対して、開発教育は日本の人々にそれらの問題と支援の必要性を訴えていて、いわば援助の「後方支援」のような役割を果たしていた。ところが一九九〇年代に進んだ急激なグローバリゼーションによって、世界の問題は日本の地域の問題と直接間接につながるようになった。例えば、地球温暖化とCO2の排出のような課題もそうであるし、外国人労働者との地域での共生の問題に至るまで、さまざまな問題が地域的課題であり同時に地球的課題であるような状況が現出した。ここにおいて開発教育は「地球レベルの課題と地域の課題とをつなげて、その解決をめざす学習活動」というように変化してきたのである。

(…後略…)

目次

序章 「援助」するということ
第1章 援助と開発の歴史―タイを中心に
第2章 PRA―参加型農村調査法とは?
第3章 開発プロジェクトのタイプ
第4章 参加型開発とは何か?
第5章 日本のHGOと参加型開発
第6章 日本の開発教育―開発問題をいかに伝えたか
第7章 総合学習とESD(持続可能な開発のための教育)
第8章 参加型学習の系譜
第9章 自分・地域・世界をつなぐ学び
終章 これからの国際協力と開発教育

著者等紹介

田中治彦[タナカハルヒコ]
1953年、東京生まれ。1980年より(財)日本国際交流センターで民間協力の仕事にたずさわる。岡山大学教育学部を経て、立教大学文学部教授。サンダーランド大学(英国)とチェンマイ大学(タイ)で客員教授を務めた。(特活)開発教育協会代表理事(2002~08年)。立教大学ESD研究センター運営委員。専門は社会教育と開発教育。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Akihiro Nishio

15
教育開発の本かと思って読んだら開発教育の本だった。開発教育とは、身近な問題について、自ら問いを立ててグループ学歴する方法で、参加型教育として、近年、国際協力の現場でさかんに用いられている。また、日本の環境教育や国際理解協力もほとんど同じもので、同根なんだそうだ。学校で国際理解の授業をする先生向けに書かれた本だろう。2016/08/06

壱萬参仟縁

5
5年前だが、テーマや今日的意義は色褪せていない。例えば、参加型開発、ESD、開発教育などがある。J.サックス先生の洋書にもあったが、開発の梯子はR.ハートの参加の梯子という図で具体化されている(083頁)。梯子に見立てて、一歩一歩歩みを進めるというのは、漸進的な発展像で共感を呼ぶ。絵所秀紀先生のテキストだったか、貧困の悪循環の図式(126頁)も思い出される。ESDの維持可能な発展のための教育も、総合学習が教科書2割増しで脱ゆとりのため軽視されているような気もする。英語で社会の授業を展開する教育は重要な点。2013/05/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2145272
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。

最近チェックした商品