内容説明
近年ますます注目の集まるNGO。しかしその活動は必ずしも夢と希望のみに彩られたものではない。日常の資金繰りのなかで直面するジレンマ―「これは事業体か運動体か」。現場でたえずつきつけられる「支援とは何か」という問い。そして企業のCSR活動との競合のなかで、NGOはその独自性をどのように発揮していくのかという新たな課題。実践のなかでこれらのジレンマを経てきた筆者らが、新たな国際協力NGO論をひらく。
目次
第1部 NGOが抱えるアクターとしてのジレンマ(なぜ、NGOは政治性と非政治性の狭間でゆれるのだろうか?―アドボカシー戦略とメディア表象の分析を中心に;国際協力の矛盾―企業戦士になるNGO実務者;国際協力NGOのバランシング・アウト―受益者・ドナーと組織のジレンマ)
第2部 現場からの発信(現地社会はNGOをどのようにみているのか?―ローカルスタッフの雇用・管理に関する問題を事例に;東ティモールの復興開発過程における現地NGOの役割―ハック協会の事例から;民主化支援の逆説―カンボジアにおける国際選挙監視を事例に;「フェア・トレード」という名において)
第3部 ガバナンス時代におけるNGOの位相(地雷廃絶運動の「成功」から成功へ―ポストオタワにおけるJCBLの存在意義;地雷禁止条約の弱点を補完するNGOの役割―ICBLと「ランドマインモニター・レポート」を事例に;国際人道支援活動の調整―学術研究の特徴と課題から垣間見える実践)
著者等紹介
金敬黙[キムギョンムク]
1972年生まれ。中京大学教養部准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。秋野豊ユーラシア基金「第3回秋野豊賞」受賞
福武慎太郎[フクタケシンタロウ]
1972年生まれ。名古屋市立大学人文社会学部講師。上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士後期課程単位取得満期退学。(特活)シェア=国際保健協力市民の会東ティモール派遣職員(2001年12月~02年12月)
多田透[タダトオル]
1971年生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程。2004年7月より外務省NGO専門調査員(翌3月まで、派遣先:(特活)日本国際ボランティアセンター)。秋野豊ユーラシア基金「第9回秋野豊賞」受賞
山田裕史[ヤマダヒロシ]
1977年生まれ。上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士後期課程。カンボジア地域研究、比較政治学。(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)インターンを経て、カンボジア市民フォーラム事務局調整員。カンボジアの選挙に関する調査研究で、秋野豊ユーラシア基金「第7回秋野豊賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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