出版社内容情報
グローバル化時代に生きるアジアの国々の人々の暮らしとその変化を比較研究したプロジェクト。その成果を、京都新聞に連載した「21世紀アジア家族」に「日本の家族を考える」章を書き加えて、まとめたもの。「家族のあり方」が問われるいま、示唆に富む一著である。
はじめに
第1章 同時代を生きる
第2章 子どもはどう育つ
第3章 高齢期の過ごし方
第4章 家事と食
第5章 ジェンダーの未来
第6章 グローバル化
第7章 日本をみる
はじめに
二〇〇一年からの数年間、私たちはアジアのあちこちを訪ねてきた。普通のお宅に上がりこみ、毎日の生活について質問したり、台所から寝室まで家の隅々まで見せてもらったりもした。考えてみればずいぶん図々しい客だったかもしれない。しかしどこの地域でも多くの方がとても親切に珍しい来訪者を受け入れてくださった。
家の中ばかりではない。近所の人たちがみな戸外に椅子を出して食事をしたり涼んだりしている中国の路地裏で、竹竿を渡しただけの橋で水路沿いの家々が結ばれたタイの農村で、マレー料理・インド料理・中国料理とさまざまな店の並ぶシンガポールのフードコートで、私たちはさまざまな暮らしにふれた。お会いしたおひとりおひとりの表情や仕草と光景を、昨日のことのように思い出す。
この本はそんなふうにして実施した共同研究「アジア諸社会におけるジェンダーの比較研究――日本・韓国・中国・タイ・シンガポールを対象に」から生まれた。なぜか女性ばかり一一人の日本の研究者と、こちらは男性もいる韓国、中国、タイなどそれぞれの地域の研究者が共同して、アジア各地の家族と人々の暮らしとその変化を比較研究しようというプロジェクトだった。アジア経済についての本はたくさんあり、観光でアジアを訪れる人も多いけれど、そこで人々が送っている日常生活となると、日本の人たちはどれだけ知っているだろうか。
現在のアジアではマンション住まいの人も多く、少子化や高齢化も問題になっていて、一見して日本と変わりないようにも見える。しかし、実際にそこに行ってみると、やはり違う。同じ問題に対しても、予想外の解決法に驚くこともしばしばある。私たちはお互いにとっての「当たり前」をもっと知ったほうがいいし、そうすることでかえって自分の日常を見直すこともできるのではないだろうか。
共同研究の成果は報告書にまとめ、別に研究書としての出版も予定している。しかし論文にしてしまうと落ちてしまうような個々の具体的な出来事や、自分たちが感じた心の動きといったものを、どこかで書いておきたいという気持ちが募ってきた。幸運なことに、京都新聞社がそんな私たちに機会を与えてくださった。二〇〇五年の二月二五日から二〇〇六年の二月一〇日まで計四三回にわたって続けた連載「21世紀アジア家族」を、私たち自身も本当に楽しんだ。本書はそこに掲載されたエッセイに何本かを新たに追加し、さらに「日本をみる」という章も書き加えてまとめたものである。毎日の調査を終えて宿舎に帰ってきて、「ねえねえ、今日はこんなことがあったの」と思わず話し込んでしまった私たちのよもやま話に加わるつもりで読んでいただけたら嬉しい。
二〇〇六年八月
落合恵美子
上野加代子
目次
第1章 同時代を生きる
第2章 子どもはどう育つ
第3章 高齢期の過ごし方
第4章 家事と食
第5章 ジェンダーの未来
第6章 グローバル化
第7章 日本をみる
著者等紹介
落合恵美子[オチアイエミコ]
京都大学大学院文学研究科教授
上野加代子[ウエノカヨコ]
徳島大学総合科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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