新・患者の権利オンブズマン

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新・患者の権利オンブズマン

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750323732
  • NDC分類 498
  • Cコード C0036

目次

第1章 苦情から学んで患者中心の医療を(患者の権利の今日的意味について;新ミレニアムにおける医師の責務;裁判外苦情手続における第三者機関の役割;大分の医療に問われるもの)
第2章 患者の行動を促進するオンブズマンの活動(実践編)(相談支援の活動の果たす役割;データが語る相談支援事業と調査点検事業の実際;苦情手続の発展のために)
第3章 患者の苦情を受け止め、共に歩む(苦情は期待の裏返し―相談業務を通して教えられたこと;すべてのがん患者に、痛みから解放する医療を―日本をがんの痛み治療の先進国にしよう;院長の理念を貫く「患者の権利オンブズマン」の活動;患者の権利と私たちの医療活動;急性期から在宅までの連続性ある医療継続)
第4章 患者の権利オンブズマンの展望とボランティアの活動(資料編)(五年間の総括・到達点とこれからの五年の展望;NPO法人患者の権利オンブズマン第六回定期総会特別決議 ほか)

出版社内容情報

病院や医師に対する不満や不信、医療事故などに個人として対処するのはきわめてむずかしい。「苦情から学ぶ医療を目指して」をスローガンに、福岡を中心に各地で活動するボランティア組織「患者の権利オンブズマン」の事業と実績を紹介するレポート。

序 文(池永 満)
第一章 苦情から学んで患者中心の医療を
 一 患者の権利の今日的意味について(鈴木利廣)
 二 新ミレニアムにおける医師の責務(李 啓充)
 三 裁判外苦情手続における第三者機関の役割(池永 満)
 四 大分の医療に問われるもの(徳田靖之)
第二章 患者の行動を促進するオンブズマンの活動(実践編)
 一 相談支援活動の果たす役割(山本裕子)
 二 データが語る相談支援事業と調査点検事業の実際(吉原幸子)
 三 苦情手続の発展のために(平野 亙)
第三章 患者の苦情を受け止め、共に歩む
 一 苦情は期待の裏返し――相談業務を通して教えられたこと(山本治子)
 二 すべてのがん患者に、痛みから解放する医療を――日本をがんの痛み治療の先進国にしよう(武田文和)
 三 院長の理念を貫く「患者の権利オンブズマン」の活動(医療法人泯江堂三野原病院)
 四 患者の権利と私たちの医療活動(平田 済)
 五 急性期から在宅までの連続性ある医療継続(中山初美)
第四章 患者の権利オンブズマンの展望とボランティアの活動(資料編)
 一 五年間の総括・到達点とこれからの五年の展望
 二 NPO法人患者の権利オンブズマン第六回定期総会特別決議
 三 患者の権利オンブズマンとボランティアの組織および行動の基準
 四 個人情報保護方針と個人情報の保護と取扱いに関する規約
 五 医療機関・福祉施設への「認定個人情報保護団体」対象事業者としての登録の呼びかけ
 六 特定非営利活動法人患者の権利オンブズマン定款
あとがき(池永早苗)

序文
 「言いたいことがあれば何でも言って下さい」との言葉につられ、おそるおそる申し出たところ「あなたは私が信用できないのか」と叱られ、煮え湯を飲まされる。「小さな苦情、大きな仕返し」。
 「話せば分かる」との仲介者の誘いに乗ってみたら、「あなたの言い分はもっともだが、相手にも立場というものがあるので……」などと諭され、結局うやむやのうちに押さえ込まれてしまう。
 社会のあらゆる分野でこうした日本的「対話路線」のネガティブな経験をした市民も少なくない中、一九九九年六月、患者の権利オンブズマンが掲げた「苦情から学ぶ医療を目指して」というスローガンは非常に新鮮な響きをもって受け止められた。その精神は、申し立てられた苦情の原因を自ら適正・迅速に調査して、その結果を報告するとともに、再発防止策を作り上げてサービスの質の向上を実現するというものである。
 WHO(世界保健機関)が提唱した医療福祉分野における裁判外の「苦情手続」(Complaints Proce-dures)における第三者機関の役割を果たす市民団体として、患者の権利オンブズマンが日本で初めて産声を上げてから満七年が経過した。組織的には二〇〇二年一二月に「患者の権利オンブズマン東京」と全国的交流組織としての「患者の権利オンブズマン全国連絡委員会」(略称「全国連」)が結成され、二〇〇四年八月には「患者の権利オンブズマン関西」が、さらに二〇〇五年一〇月にはNPO法人患者の権利オンブズマンの分室として「患者の権利オンブズマン大分」が活動を開始するなど、患者の権利オンブズマンの組織と活動も全国的な規模で遂行されている。既に準備会がある仙台をはじめ、北は北海道から南は沖縄まで文字どおり全国各地にこの運動を展開していくという展望が現実的課題になりつつある。
 事業内容も四方向の広がりを持ちつつ、着実に発展している。
 第一に、患者・家族からの苦情について面談による相談を行うとともに、患者・家族自らが相手方医療機関・医療従事者と対話して苦情の解決を促進するための支援活動(記録検討支援、同行支援、薬害調査支援、承諾解剖紹介支援など)を実施し、話し合いで解決できなかった場合は、国際的な患者の権利と人権に関する基準に基づき第三者的立場から苦情原因と患者の権利侵害の有無を調査し、権利侵害に対する改善勧告を含む調査報告書を提出して、再度の対話による公正な解決を促すなど、WHO宣言が提唱した患者・家族の「苦情調査申立権」の行使を側面的に支援する活動を全て無料で実施してきた。
 第二に、患者の苦情から学んでサービスの質を向上させ、患者・利用者との信頼関係を一層強化したいと考える医療機関・福祉施設が増加している中、苦情手続システムの導入について紹介し、さらに“患者アドボカシー”など病院・施設における苦情相談担当者の養成と研修を支援するため、定期的に研修講座を開催して修了者には研修履歴となる認定証を交付するなどの活動を行ってきた。
 第三に、医療福祉サービスにおける苦情の中でも最も深刻な医療事故等に関して、「安全な医療を受ける権利」を促進する立場から患者側も強く要求してきた、(法律上の責任の有無にかかわらず)事故原因の徹底究明と再発防止策の確立をすすめる「医療事故調査手続」を主宰する「医療事故調査委員会」の設置を提唱し、病院内の事故調査委員会に参加する外部調査委員の養成研修及び派遣を行ってきた。
 第四に、個人情報保護法に基づき厚生労働大臣から認定を受けた認定個人情報保護団体として、登録施設における個人情報に関する苦情解決を促進しつつ個人情報の適切な取り扱いを推進する第三者機関としての活動など、患者(利用者)の権利を促進する立場から病院・施設における苦情手続に第三者機関として直接関与する活動にも着手した。
 これらの事業は全て、市民相談員、法律専門相談員、事務局員、医療福祉専門相談員、オンブズマン会議メンバー、個人情報保護専門相談員、個人情報保護審査会メンバー、顧問など各地で活動している無報酬のボランティアの献身的な努力により維持されている。
 ボランティアの活動に対して支給される交通費をはじめ相談活動や事務などに要する費用については、各地の患者の権利オンブズマン組織は会員年会費と支援者からの寄付金等により自らの力で財政を作り出すとともに、全国連絡委員会を通じて相互に支援する体制となっている。
 国税庁から認定されているNPO法人患者の権利オンブズマンの財政は、全国の賛同者から寄せられる寄付金をはじめ、一〇〇〇名規模の会員からの年会費(正会員・賛助会員・賛助団体・ニュースレター『患者の権利』講読会員)、WHOの苦情手続を導入し自らのサービスの質を向上させるために患者の権利オンブズマンの協力医療機関・福祉施設として登録している施設からの年会費、その他研修広報事業からの収入で構成されている。
 毎年六月に開催される会員総会において承認された収支決算書は、NPO法に基づく認証者である福岡県知事及び国税庁長官へ事業報告書として提出するとともに、アニュアル・レポート(年次報告書)及びニュースレター『患者の権利』上で公表している。
 本書は、この七年間における各分野の事業内容の発展を鳥瞰できるよう各地で開催されたシンポジウムや講演会の内容を収録するとともに、NPO法人患者の権利オンブズマンの各事業の概要と実績データを分析した最新の研究レポートを提供するものであり、創立一周年を記念して二〇〇〇年六月に出版された『患者の権利オンブズマン』(明石書店)の続編である。
 ところで、本年六月四日に九州大学医学部百年講堂で開催されたNPO法人第八回会員総会では、従前の理事一〇名体制から一五名体制へと理事会を増強するとともに、創立以来二つの柱を構成してきた相談支援事業と調査点検事業に携わっているボランティアの中心メンバーがこぞって理事に就任し、これらの事業について理事会が一体となり責任を持って推進しうる体制を確立した。
 さらに、第八回総会においては今後三年間の活動を展望しつつ、新たに開始した認定個人情報保護団体としての事業の全国化、医療機関などにおける個人情報の適正な取り扱いを促進するための出版活動、医療事故調査委員会における外部専門委員の研修養成講座と外部専門委員の派遣事業の全国化、医療機関・福祉施設において患者の権利を擁護する立場から業務に従事する「患者アドボカシー研修講座」の一層の充実と再編成及び研修のための統一した教科書の作成、患者の権利オンブズマンの全てのボランティアを対象とした継続的研修システムの確立、話し合いに立ち会う同行支援や医療機関や福祉施設に出向いて行う新たな患者支援活動など一層高いレベルでのボランティア活動の推進などを含む事業計画を採択した。
 患者の権利オンブズマンは、医療福祉分野における裁判外苦情手続を一〇年間で日本の公共政策として確立させることを掲げて発足した。この間、介護保険法、社会福祉法、医療法施行規則改正などにより、苦情手続に関する法制化も大きな前進を遂げてきている。残された三年間で、患者の権利を促進し、医療・福祉サービスの質を向上させるための苦情手続として完成させていくために、とりわけ患者の権利促進に情熱を傾けるボランティアの大量育成を柱としたマンパワーの供給・充実をすすめていきたい。こうしたマンパワーを担う市民団体としての社会的期待の高まりを日々実感しており、患者の権利オンブズマンは正念場を迎えていると言えよう。
 これまで全国から寄せられたお力添えに深く感謝申し上げるとともに、今後ともご指導とご鞭撻をたまわりたく、できましたらこの運動へのご参加をいただきたく心から訴えるしだいです。

二〇〇六年六月、NPO法人患者の権利オンブズマン創立七周年を記念して
患者の権利オンブズマン全国連絡委員会代表
NPO法人患者の権利オンブズマン理事長
弁護士 池永 満