バイリンガル・ファミリー―子どもをバイリンガルに育てようとする親のための手引き

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バイリンガル・ファミリー―子どもをバイリンガルに育てようとする親のための手引き

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  • サイズ B6判/ページ数 324p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750322957
  • NDC分類 807
  • Cコード C0037

出版社内容情報

家族がバイリンガリズムを選択するさいに起こるであろうさまざまな問題について、多くの具体的な事例、懇切丁寧な解説で実践的に論じる。子どもをバイリンガルに育てようと考える親たちを勇気づけ、豊富な情報を提供する最良の手引き書。

 日本の読者の皆様へ
 はしがき
第1部 問題の概説
 第1章 子どもと言語
  子どもは何のために言語を使用するのか?
  1.1 関係の構築
  1.2 情報のやりとり
  1.3 思考
  1.4 ことば遊び
  1.5 学びながらの意思疎通
  言語に関する一般的知識
  1.6 「言語」と「方言」
  1.7 書きことばと話しことば
  1.8 変化
  1.9 言語の各レベル
  1.10 言語の多様性
  1.11 言語の習得
 第2章 バイリンガリズムとは何か?
  2.1 バイリンガリズムの定義
  2.2 「エリート」バイリンガリズムと「大衆」バイリンガリズム
  2.3 さまざまな種類のバイリンガル社会
  2.4 バイリンガリズムはまれではない
  2.5 国家のアイデンティティと単一言語国家:フランス、フランス語、フランス人の例
  2.6 「公式」バイリンガルと個人バイリンガル
 第3章 バイリンガルに関して知っておくべき事柄
  3.1 バイリンガリズムは程度の問題である
  3.2 複合バイリンガルと等位バイリンガル
  3.3 習得年齢
  3.4 2つの文化の共有
 第4章 バイリンガルの子どもの発達
  同時習得
  4.1 バイリンガル家族のタイプ
  4.2 バイリンガルとモノリンガルの間に見られる発達の類似性
  4.3 2つの言語の分離
  4.4 バイリンガルであることに気づくこと
  4.5 コード・スイッチングと翻訳
  4.6 「生まれながらの通訳」?
  継続バイリンガリズム
  4.7 第二言語は第一言語と同じように習得されるか?
  バイリンガリズムと知能
  第5章 子どもをバイリンガルとして育てるか否か、何がその決断を左右するのか?
  自問すべき問い
  5.1 自分自身の言語背景と言語歴はどのようなものか?
  5.2 お互いにどの言語を話すか?
  5.3 お互いの言語をどのように使用するか?
  5.4 子どもの世話をするのは誰か?
  5.5 自分の母語に向ける自身の態度はどのようなものか?
  5.6 実家や親戚の人たちとはどのようなつき合いをしているか?
  5.7 かかわる言語は何か?
  5.8 言語を維持するのにどのような支援方法が利用できるか?
  5.9 お互いのコミュニケーションの取り方を替えねばならないか?
  決断の時
  5.10 いくつかの「基本原理」
  5.11 自身の置かれた状況を評価する
  アンケート
第2部 事例:さまざまなバイリンガル家族とそれぞれの道
 事例1:「父語」としての英語
 事例2:臨機応変でいく
 事例3:バイリンガリズムは玄関から始まる
 事例4:会話での言語切り替え方略
 事例5:旅は身軽に――必需かばんとしてのバイリンガリズム
 事例6:バイカルチュラリズムはあれど、バイリンガリズムはなし
 事例7:まずは家族のルーツ――1親1言語
 事例8:わが家は私の(言語の)城である
 事例9:「子どもリブ」――子どもの言語的独立を認めて
 事例10:子ども時代からの足跡
 事例11:文化遺産――1親1言語
 事例12:2つの家庭、2つの言語、2つの文化
 事例13:入るも易し、出るも易し
 事例14:決意――そしてユーモアの感覚
 事例15:宗教的および社会的アイデンティティとしての言語
 事例16:バイリンガリズム――そしてよりよい生活
 事例17:親1人、2言語
 事例18:「型変更」家族のバイリンガリズム
第3部 参考ガイド
誤りを正すこと/医者──とその他の「権威」/色/インターネット/書くこと/数を数えること/学校/吃音/「休眠中」の言語の再活性/言語を話すのを拒むこと/コード・スイッチング/国籍/混合/辞典/通訳することと翻訳すること/綴り/適性/テレビ/とても幼い子どもたち/名前/なまり/2言語の読み書き能力/年齢/ののしりことば/ほかの言語/身振り──そして非言語的コミュニケーション一般/文字・書記法/夢/幼児語/読むこと/来客/引用/推薦資料
 参考文献目録
 訳者あとがき

はしがき
 本書は子どもをバイリンガルに育てようと考えている親のための手引き書です。シュトゥットガルト、マドリード、あるいはストラスブールで暮らす英語を話す家族、ドイツに移り住んだスペイン人女性、あるいはまた北米に住むデンマーク人家族のために書かれたものです。本書は、2言語社会について語った本ではありませんので、フィンランドやウェールズのような国にいる多様な言語の話者の分布について述べるものではありません。移民集団の言語に関する諸問題を論じるものでもありません。そうしたことは社会問題や政治問題にかかわるものであり、本書が扱う範囲をはるかに超えたものです。
 本書で取り扱われる事例の大半はヨーロッパに暮らす家族にかかわるものですが、ここで述べられることは、世界のその他の地域にいる親にも関連するものです。同様に、すべてではないものの、私たちが紹介する事例の多くは親が専門職に就いている家族ですが、本書は、家族の移動がますます盛んになり、子どもを2つ以上の言語で教育するという問題に直面している多様な家族に役立つものと考えています。ここで私たちがしようとしているのは、多くの家族の体験を紹介し、親を助け、情報を提供し、安心してもらうことです。ここでいう「家族」とは、(両)親と子どもから構成される社会的単位のことです。
 私たちには何か特定の理論や心理学的知識を持ち出そうなどという魂胆はありません。本書は、押しつけがましい、こちこちの規則集などではなく、それぞれの事情をかかえた親の手助けができるよう、いくつかの基本的な問題を実践的に論じようとするものです。本書では、まず、バイリンガルか否かにかかわらず、子どもはどう言語を使用するかということについて概説し、言語や言語の習得について語る際に役立ついくつかの用語の定義を紹介します。しかし、本書の中核になるのは次のものです。
(1) バイリンガリズムとバイリンガルの子どもの発達に関する先行研究の概要
(2) 子どもをバイリンガルとして育てるかどうかを決める際に親が考慮すべき要点の考察
(3) それぞれに異なる事情をかかえた親がとった異なる選択や決断を知ることができる、多様なバイリンガル家族の事例
(4) 親に役立つ話題や概念の概説
 私たち執筆者はどちらも言語学の専門家ですが、本書をまとめようと思い立ったのは、自分たち自らが、日々、それぞれの家族の中でバイリンガリズムを体験しているからであることを是非とも述べておきたいと思います。読者の皆さんは、私たちの述べることに、何もかもそうだと同意するわけでもないでしょうし、またそれぞれの事情とは異なっていると思われるかもしれません。もしそうでないことがままあれば、それこそ驚きです。起こりうるすべての事例を網羅しようとしたところで、それは土台無理な話だったでしょう。私たちはただ、長年にわたる自分たちの実体験から学んだものを系統立てて述べてみただけなのです。
 本書のテーマである、バイリンガルの子どもを育てることとは、途方もなく大きく、議論沸騰の子育てという問題の1つの側面にすぎません。
 どの家族にも、言語の他に、家族を構成する者1人ひとりの、また家族全体のアイデンティティを特徴づけるのに欠くことができない、個々人の関係に影響を及ぼす多様な要因(たとえば、社会的役割、健康、年齢、信仰、政治的見解)があります。こうしたことを語るにあたって、私たちの方が他の親より的確にできるというものではないので、自分たちの個人的な見解が、これから述べていく議論に影響を与えることがないように努めました。バイリンガルの子どもは、まずは子どもなのであって、他の子どもたちと同様に、小遣いや思春期というような問題が重大な関心事なのです。テーマが複雑なことから、子どもの生活の一側面だけを取り上げざるを得ないのは危険なことですが、私たちは、脈略全体、すなわち子どもを全体的にとらえることが重要であることを十分承知しています。
 バイリンガルの研究分野では、本書の第一版を出してからの15年ほどの間に多くの進展がありましたが、それがこの第二版を出版した大きな理由の1つです。とりわけ、研究が大幅に増え、いまやバイリンガルやマルチリンガルの発達を定期的に報告する定評のある国際的な学術専門誌が何誌か発行されるようになっています。言語の死をテーマとした重要な研究(Fishman, 1991; Crystal, 2000; Nettle & Romaine, 2000)を含む、バイリンガリズムの社会的側面を扱った研究(Fishman, 1989)が多くなされてきています。また、数多くの記述的な研究が、とりわけ言語接触、コード・スイッチング、言語変容(Milroy & Muysken, 1995; Jones & Esch, 2002)の領域で行われ、同様に理論的研究が言語使用上の文化的多様性、人類言語学(Duranti, 1997; Foley, 1997)、認知人類学(Gumperz & Levinson, 1996)において多数行われてきましたが、これらはみな、思考と言語の関係に関する活発な論争や、言語相対論に関するサピア=ウォーフの仮説[訳者注:言語が人の認識や思考に影響を及ぼすという主張]の再評価に大きな貢献をしてきました。
 またアメリカ合衆国(Hornberger, 1990)やヨーロッパ(Baker, 2001)では、バイリンガル教育にも大きな関心が向けられ、ヨーロッパでは、言語に関する『ヨーロッパ共通基準枠組み』(Council of Europe, 2001)の出版につながったヨーロッパ評議会の仕事が、多言語主義や多文化主義の普及と手を携えて進みました。この企画は2001年のヨーロッパ言語年に、ヨーロッパ各地で組まれた種々の催しによってさらに勢いづきました。こうした動きを受け、多数の国で小学生に外国語を教えるプログラムが導入されるようになりました。同時に、言語少数派の人々にもこれまで以上に目が向けられるようになり、その結果、個人レベルでの異文化間理解が大切であること、また言語の発達と言語の使用は密接に関連しており、いずれも独自の社会的・文化的文脈に根ざしているのを理解することが、これまで以上に強調されるようになりました(Byram, 1997b; Roberts et al., 2001; Kramsch, 1998; DeLoache & Gottlieb, 2000)。
 しかしながら、親が自分の子どもを2つの言語で教育することに関しては、あまり大きな進展がみられなかったことを認めざるをえません。件(くだん)の15年の間に、社会的単位としての家族に急激な変化が生じ、そのため、いまや「核家族が最も一般的とはいえなくなった現代の社会にあって、これまで以上に多様な家庭の形態がある」(Turner, 1999)ことから、この問題はさらに複雑になっています。改訂版では、こうした進展も考慮に入れるよう努めました。社会的な立場からいえば、バイリンガル家族が疑いなく増加しているのは、ふたたびターナーのことばを借りれば、「離れて暮らしている親族をつなぐ重要な血縁ネットワークを持ち、また血縁関係のない人たちにも広く支援を頼る、形を変えた拡大家族」がますます増えていることの反映であるということを理解するのは重要です。それでもなお、その形や大きさがいかであろうと、依然として、家族の中心的な機能は愛情、親近さ、幸せを与えることですので、改訂は注意深く行いましたが、全体的な内容と主眼は初版と大きく変わっていません。
 バイリンガリズムに関する詳細な考察に入る前に、一般的なことで1つ述べておきたい点があります。特に言語学や心理学の専門家、あるいは学校の教師が、バイリンガリズムについて語る時、ついつい忘れがちになることです。それは、バイリンガルの大多数は自分たちがバイリンガルであるのをごく普通のことと考え、また有益なことだと考えている点です。かつては、バイリンガリズム研究の多くが、バイリンガリズムを賞賛と恐れの入り交じった目で見ていたモノリンガルの研究者によって行われていたために、バイリンガル自身の経験や意見が脇に押しやられていました。もし皆さんが、私たちと同じように、バイリンガルに話を聞いてみられたら、まずだれもが自分がバイリンガルであることをおもしろくまた自分を豊かにしてくれるものとして、高く評価し、それを楽しんでいることがわかるでしょう。とりわけ、子どもたちにとっては、実に楽しくわくわくするものなのです。
 本書に関して、親や子どもの皆さんからコメントがいただければ、たいへんうれしく思います。また、これまで長年にわたって、バイリンガルの子育て体験談を書き送って下さった多くの親の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。いただいたコメントは可能な限り、考慮すべく努めました。

E.H.-E., P.R.
2002年9月

目次

第1部 問題の概説(子どもと言語;バイリンガリズムとは何か?;バイリンガルに関して知っておくべき事柄 ほか)
第2部 事例:さまざまなバイリンガル家族とそれぞれの道(事例1:「父語」としての英語;事例2:臨機応変でいく;事例3:バイリンガリズムは玄関から始まる ほか)
第3部 参考ガイド(誤りを正すこと;医者―とその他の「権威」;色 ほか)

著者等紹介

山本雅代[ヤマモトマサヨ]
国際基督教大学博士後期課程修了、教育学博士。現職は、関西学院大学・言語コミュニケーション文化研究科教授。専門はバイリンガリズムで、特に、生後直後から2つの言語を習得する同時バイリンガルの言語の習得・処理・使用、またそうした子どもが育つ家庭や社会環境を研究の対象としている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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