OECDコーポレート・ガバナンス―改定OECD原則の分析と評価

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  • サイズ A5判/ページ数 254p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750322803
  • NDC分類 335
  • Cコード C0034

出版社内容情報

企業経営に大きな影響を与えるOECDコーポレート・ガバナンス原則。2004年に改定された同原則に関し、改定作業に関わった専門家を含む第一線の研究者・実務家がその変更点・背景・日本への影響等を検証。OECD上級事務官へのインタビューを巻末に収録。

 巻頭のことば[落合誠一]
 〈はじめに〉OECD原則と日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム[荻野博司]
パート1 原則改定の背景
 1 OECDとコーポレート・ガバナンス[川村泰久]
 2 国境を越えたコーポレート・ガバナンス改革[関孝哉]
 3 企業の社会的責任(CSR)と新原則[出見世信之]
パート2 OECDコーポレート・ガバナンス原則(全訳)
 序文
 謝辞
 OECDコーポレート・ガバナンス原則
 前文
 第一部 OECDコーポレート・ガバナンス原則
  1.有効なコーポレート・ガバナンスの枠組みの基礎の確保
  2.株主の権利及び主要な持分機能
  3.株主の平等な取扱い
  4.コーポレート・ガバナンスにおけるステークホルダー(利害関係者)の役割
  5.開示及び透明性
  6.取締役会の責任
 第二部 OECDコーポレート・ガバナンス原則への注釈
  1.有効なコーポレート・ガバナンスの枠組みの基礎の確保
  2.株主の権利及び主要な持分機能
  3.株主の平等な取扱い
  4.コーポレート・ガバナンスにおけるステークホルダー(利害関係者)の役割
  5.開示及び透明性
  6.取締役会の責任
パート3 論点
〈論点〉有効なコーポレート・ガバナンスの枠組みの基礎の確保
 1 コーポレート・ガバナンス論の広がり[浅井淳子]
 2 非加盟国(アウトリーチ)との相互関係[鵜澤昭彦]
〈論点〉株主の権利及び主要な持分機能
 3 機関投資家の位置付け[鹿毛雄二]
 〈論点〉株主の平等な取扱い
 4 カルパースの投資活動と株主の平等な権利[酒井雷太]
〈論点〉コーポレート・ガバナンスにおけるステークホルダーの役割
 5 ステークホルダーの位置付け[山崎明美]
 6 金融機関の監督と外部監査人の役割[越智信仁]
 7 従業員への報酬制度[加藤輝宏]
〈論点〉開示及び透明性
 8 経営者報酬[篠崎隆]
 9 証券市場とコーポレート・ガバナンス[清原健]
   ――ディスクロージャーと透明性の確保の意義
 10 資本市場における格付け会社の役割[小山明宏]
〈論点〉取締役会の責任
 11 アカウンタビリティ(説明責任)のあり方[柏木薫]
 12 取締役会の機能と責任[永井秀哉]
 13 監査制度の位置付け[木村忠夫]
パート4 インタビュー
〈グラント・カークパトリック氏、油布志行氏に聞く〉
 OECD新原則の意義とその狙い

巻頭のことば
 本書は、2004年OECDコーポレート・ガバナンス原則の全訳と解題である。周知のとおり、OECDは、1999年にコーポレート・ガバナンス原則を策定したが、ガバナンスの問題は、当該企業自体の状況のみならず当該企業を取り囲む経済・社会環境等の変化に応じて刻々と変化していくものである。その意味では、OECDガバナンス原則も例外ではなく、1999年策定以後のこうした状況の変化を踏まえた新しい原則の策定が求められることになり、その改定作業が鋭意進められ、2004年4月22日にOECDメンバー国である30カ国の承認を得て成立したのが、2004年OECDコーポレート・ガバナンス原則である。この新しい原則が成立するにあたっては、本フォーラムのメンバーによる少なからずの貢献もあったのみならず、わが国のあるべきコーポレート・ガバナンスのあり方を研究・提言することをその使命とする本フォーラムとしても、本書を刊行することにより、この新しい原則の内容をできる限りコンパクトで、しかも分かりやすい形で紹介するとともに、その基本的な意義を明らかにしてガバナンス問題に関心のある方々の参考に供することが、今もっとも必要であると考えたことに他ならない。

 2004年OECDコーポレート・ガバナンス原則は、OECD加盟国のみならず非加盟国をも対象とするが、それぞれの国によって法的・経済的・文化的背景は当然異なる。この違いを無視して単一の詳細なガバナンス・ルールを押し付けることになれば、どうしてもうまく行かなくなる。それゆえ、本ガバナンス原則は、「拘束力を持たない、原則をベースとしたアプローチ」がとられている。本ガバナンス原則は、基本的にこのような性格のものとして理解されるのである。
 もっともそのような「拘束力を持たない、原則をベースとしたアプローチ」に基づく本原則については、次のような疑問を持つ向きがあるかもしれない。拘束力を持たない原則は、単なるお題目に過ぎないものとなりはしないか。拘束力がないような原則は、コーポレート・ガバナンスのあり方の議論においていかなるメリットがあるのであろうか。こうした疑問に対して、本ガバナンス原則は、その前文において次のように答えている。すなわち、「OECD加盟国・非加盟国の政府が、それぞれの国におけるコーポレート・ガバナンスについての法的・制度的枠組み及び規制の枠組みを評価し改善する助けとなり、また、証券取引所、投資家、企業及び、良いコーポレート・ガバナンスの発展過程において役割を担うその他の関係者に対して、指針と示唆を提供することを意図した」からであると。このように本ガバナンス原則は、より良いコーポレート・ガバナンスの確立を真剣に希求する政府及び企業・市場等の関係者に対して、その評価・改善のための明確な指針を与えることが、まさにその目的なのである。

 1999年OECDガバナンス原則は、より良いコーポレート・ガバナンスを求める政府及び企業・市場等の関係者に対して大きなインパクトを与えた。その影響の大きさは、およそガバナンスの問題を論じる場合に、この原則を踏まえることなくして展開するものがもしあるとすれば、それはまともな議論とは到底評価されないであろうことに示されている。こうした大きな影響力は、新しい2004年OECDガバナンス原則においても1999年原則同様に当然引き継がれるであろうことにおよそ疑問はない。なぜなら、この原則は、1999年原則をアップ・ツー・デートにするものであり、それには世界の様々な英知が同様に結集されているからである。重要な本原則を紹介し、解題する本書が、わが国におけるより良いコーポレート・ガバナンスの確立を目指す方々にとって、少しでも役立つことがあるとすれば、本フォーラムとしてもこれにすぐる喜びはないと言わねばならない。

2006年1月
日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム共同理事長
東京大学教授
落合誠一

目次

1 原則改定の背景(OECDとコーポレート・ガバナンス;国境を越えたコーポレート・ガバナンス改革 ほか)
2 OECDコーポレート・ガバナンス原則(全訳)(OECDコーポレート・ガバナンス原則;OECDコーポレート・ガバナンス原則への注釈)
3 論点(有効なコーポレート・ガバナンスの枠組みの基礎の確保;株主の権利及び主要な持分機能 ほか)
4 インタビュー(グラント・カークパトリック氏、油布志行氏に聞く OECD新原則の意義とその狙い)

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