検証 日朝関係60年史

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750322414
  • NDC分類 319.102
  • Cコード C0036

出版社内容情報

評価・肯定の言説から、批判・否定の言説へ。戦後日本の社会状況のなかで北朝鮮ほど大きな振幅をともなう対象は存在しないといっていいだろう。政党、マスコミ、ジャーナリスト、研究者それぞれの論考を分析し、60年にわたる日朝関係の変遷を冷静に跡づける。

はじめに
第1章 日本共産党と北朝鮮
 友党関係から不信へ/批判のはじまり/ラングーン事件を糾弾/「キム・イルソン主義」批判/大韓航空機爆破事件を北朝鮮の行為と断定/国会での拉致問題の追及/金正日体制を批判/日朝首脳会談を支持
第2章 日本社会党と北朝鮮
 五〇年代――南北等距離外交をうたう/六〇~七〇年代前半――初の党訪朝団/七〇年代後半――野党外交が成果/八〇年代――テロ事件報道で北朝鮮に同調/転換への模索/九〇年代――村山首相談話
第3章 日本朝鮮研究所を考える
 日本朝鮮研究所の設立/日韓会談に反対して/時代の総括と分裂/一九六八年の北朝鮮を見て/差別発言事件から金大中事件まで/佐藤・梶村論争/ふたたび金大中死刑裁判をみる/現代コリア研究所へ
第4章 『世界』は北朝鮮をどう論じたか
 関心が浅かった創刊直後/帰国運動支持から日韓会談反対へ/最初の金日成会見記/北朝鮮・金日成への関心/日朝交渉の促進で論陣/北朝鮮の体制をはじめて分析/コメ問題、ミサイル問題、拉致問題/日朝首脳会談を歓迎
第5章 帰国運動とは何だったのか(上)
 朝鮮総連が国会に陳情/生活苦から帰国を希望/居住地選択の自由惑をめぐる応酬/小泉首相の訪朝とその後の後退/小泉再訪朝
索引を兼ねた日朝関係史略年表
あとがき

はじめに
 日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との間には国交がない。この国が誕生してから、五七年が経過した。はじめの五四年間はまぎれもなく対立と敵対の支配した関係であった。朝鮮戦争の時期には横田と嘉手納からB29が連日飛び立って、北朝鮮全土を空襲した。停戦後も対立はつづき、在日米軍を敵対視する北朝鮮は工作船を日本領海に送り込み、工作員を国内に侵入させ、七〇年代以降は日本人の拉致までも行われた。二〇〇二年からの三年は、はじめて両国関係が、両首脳が署名した日朝平壌宣言のもとで非敵対的な交渉の関係に入った期間であった。
 しかるに、この三年間は、北朝鮮に対して最悪の感情が向けられた異常な時でもあった。日朝関係の過去と現状を認識しようとする努力、民間の交流を維持し、相互理解を発展させようとする努力、国家間の関係を開き、日朝関係を正常化しようとする努力、対立の不幸な犠牲者を救済しようとする努力がさまざまになされてきたことに対して、最大限の悪罵が投げつけられた。日朝関係に関わった人々の活動、それを報道した内容、研究した論文――そのすべてが冷笑され、否定される傾向にある。
 ここで、日朝国交樹立を願い、日朝国交正
  報告者 高崎宗司   報告者 呉圭祥(朝鮮大学教授)
 第6回 「帰国運動」を考える      一月二三日
  報告者 和田春樹   証言者 梁石日(作家)
 第7回 『朝日新聞』の朝鮮報道     二月四日
  報告者 高崎宗司   証言者 今津弘(元論説副主幹)
 第8回 平壌訪問者たち        二月二〇日
  報告者 和田春樹   証言者 松本昌次(元未来社編集長、病気のため文書証言)
 第9回 金丸・田辺訪朝を考える    二月二七日
  報告者 高崎宗司   証言者 田辺誠(当時日本社会党代表団長)
 第10回 自由民主党と朝鮮       四月七日
  報告者 和田春樹   証言者 加藤紘一(衆議院議員)

 各証言者の方々のお話は大変興味深いものであったが、今回記録にまとめるにあたっては、うかがったことを私たちの報告を書き直すところに反映させていただくこととし、証言自体は割愛した。
 研究会には毎回熱心な聴衆が集まり、興味と問題意識の強さが印象的であった。その熱意に私たちは大きな支持と鼓舞を感じた。雑誌『論座』編集長上丸洋一氏は、第一、二、四、五、六、一〇

目次

日本共産党と北朝鮮
日本社会党と北朝鮮
日本朝鮮研究所を考える
『世界』は北朝鮮をどう論じたか
帰国運動とは何だったのか
『朝日新聞』社説は北朝鮮をどう論じたか
平壌訪問者たち
金丸・田辺訪朝はいかにして行われたか
自由民主党と北朝鮮

著者等紹介

和田春樹[ワダハルキ]
1938年大阪生まれ、清水市で成長。東京大学文学部西洋史学科卒業。東京大学社会科学研究所助手、助教授、教授、所長。ロシア史・現代朝鮮研究を専攻。日朝国交促進国民協会事務局長

高崎宗司[タカサキソウジ]
1944年茨城県生まれ、東京教育大学大学院文学研究科修士課程中退(1970年)、思想の科学社編集部員などを経て、現在は津田塾大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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