世界歴史叢書<br> エジプト近現代史―ムハンマド・アリ朝成立から現在までの200年

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世界歴史叢書
エジプト近現代史―ムハンマド・アリ朝成立から現在までの200年

  • 山口 直彦【著】
  • 価格 ¥4,950(本体¥4,500)
  • 明石書店(2006/01発売)
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  • サイズ A5判/ページ数 394p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750322384
  • NDC分類 242.07
  • Cコード C0322

出版社内容情報

湾岸戦争、中東和平問題、国際テロ対策と様々な局面で中東諸国間また中東・欧米間を仲介する「中東の大国」エジプト。国家近代化と民族自決を図った「帝国への挑戦」から現代までの歴史を、ムハンマド・アリとその後継者たちの歩みを軸に辿り、中東・アラブ世界の潮流の原点を浮き彫りにする。

はじめに
1 混迷と停滞 ◇ 一六世紀から一八世紀までのエジプト
2 近代への覚醒 ◇ ムハンマド・アリ朝の成立
3 帝国への道 ◇ 強兵策と領土拡大
4 挫折 ◇ 超大国・英国の壁
5 行財政改革 ◇ 近代的中央集権国家の誕生
6 近代化と殖産興業 ◇ 経済的自立の模索
7 ムハンマド・アリの時代 ◇ その光と翳(かげ)
8 反動と転機 ◇ アッバースとサイード
9 脱亜入欧 ◇ イスマイルの挑戦
10 転落 ◇ 植民地化への道
11 最初の革命 ◇ そしてその挫折
12 第二の革命 ◇ 独立回復への長い道
13 落日に向かう王朝 ◇ ファルークの時代
14 エジプト革命 ◇ 王朝の終焉
15 スエズ動乱 ◇ 帝国への挑戦
16 エピローグ ◇ スエズ以降
あとがき
関連年表/主要参考文献・資料/掲載写真・図版出所
索引

はじめに
 今日、エジプトが中東・アラブ世界で中核的、主導的な役割を果たしている「中東の大国」であることに異議をとなえる向きは少ないであろう。ナセル(ガマール・アブドゥンナースィル、一九一八~七〇年)時代の「アラブの盟主」という言葉こそ色褪せたが、依然としてエジプトはさきの湾岸危機・戦争、中東和平問題、そして国際テロ対策と様々な局面で、中東・アラブ諸国間を、あるいは中東・アラブ諸国と欧米諸国との間を仲介する重要な役割を担い続けている。だが、エジプトは人口でこそアラブ諸国全体の四分の一を占めるものの(七〇五〇万人、二〇〇四年一月時点)、軍事的、経済的には必ずしも「大国」ではない。軍事力では湾岸戦争以前のイラクには及ばず、経済力では富裕なペルシャ湾岸産油国にはるかに及ばないばかりか、一人当たりのGDP(国内総生産)ではレバノンやヨルダンといった非産油国にも後塵を拝している。
 それでは、エジプトはなぜ「中東の大国」であり続けられるのだろうか。その要因としては、中東・アラブ諸国で最も長い歴史を持つ近代的教育制度が生み出した豊富な人材や思想・文化・情報などの発信力、同じく長い歴史を持つ中央集権的行政機構と優秀な高のムハンマド・サイード(一八二二~六三年)や孫のイスマイル(一八三〇~九五年)などが今度は開放経済体制のもとで近代化政策を引き継ぐ。しかし、この後継者たちの試みも財政破綻によって挫折し、結局、一八八二年からエジプトは英国の実質的な植民地と化すことになる。
 ムハンマド・アリとその後継者たちの近代化政策は、「興隆するヨーロッパ文明の脅威に対抗して、非欧米世界が軍事・産業・社会の近代化を図り、自立的な国家の建設を目指した最も初期の取り組み」(カイロ・アメリカン大学、マイケル・レイマー教授)であり、あとに続く日本の明治維新や清の洋務運動などを先取りする画期的な試みでもあった。エジプト人にとってはいわば「外国人の支配者」であるムハンマド・アリ一族による「上からの改革」が挫折したあともその近代化政策によって点火された民族のエネルギーは消えることはなかった。むしろ、それは英国の植民地支配に対する抵抗運動として激しく燃え上がり、一九二二年の英国保護領からの独立、一九五二年のエジプト革命、さらには一九五六年のスエズ動乱を経て真の民族自立を達成することになる。
 こうしたいわば「下からの改革」を模索するなかで、エジプトでは持っている。冷戦の終結とともに欧米のキリスト教・ユダヤ教世界ではそれまでの共産主義に代わってイスラム教、とりわけイスラム主義を脅威と見なす傾向が強まっている。他方、イスラム世界ではグローバリゼイションの名のもとに逆に米国を中心とする欧米文明に飲み込まれるのではないかとの警戒感が強く、これがイスラム回帰の大きな原動力ともなっている。同様に、一八八〇年代にエジプトでナショナリズムを掲げたオラービー革命が、エジプト統治下のスーダンでイスラム復興を掲げたマフディー運動が盛り上がった際、ヨーロッパ世界ではイスラムの脅威が声高に議論され、エジプトなどイスラム世界ではヨーロッパ列強が「非欧米世界を文明化する」という「白人の重荷」(ラドヤード・キプリング)の美名のもとに植民地化を進めるなか、キリスト教による脅威が叫ばれた。まさに、「文明の衝突」である。また、英国がオラービー革命に対し軍事介入する際に使ったロジックは「テロとの戦い」であり、このとき英国が他の列強の支持を得られず、単独での武力行使に踏み切った経緯は、二〇〇三年三月に米英両国が国連決議を待たずにイラク攻撃を行った状況とも類似している。そして、スーダンでおよそ一六年代国家建設の模索に始まり、富国強兵・殖産興業、対外拡張戦争とその挫折、戦後復興とバブル崩壊、長期不況と社会の閉塞感など、明治から現在に至る日本の歴史とも多くの共通点を持っている。しかも、それはナポレオンに始まり、ネルソン、レセップス、ナポレオン三世、ディズレーリ、グラッドストン、アフガーニー、マフディー、ゴードン、チャーチル、キッチナー、ロレンス(アラビアのロレンス)、アレンビー、ロンメル、ナセル、アイゼンハワー、イーデン、サダトなどが交錯するまさに「世界史の檜舞台」でもある。本稿では、ムハンマド・アリとその後継者たちの歩みを軸にエジプトの近現代史を辿ることで、「中東の大国」、エジプトがいかにして築かれてきたのか、そして現在の中東・アラブ世界の潮流の原点がどこにあるのかを可能な限り浮き彫りにしていきたい。

目次

混迷と停滞―一六世紀から一八世紀までのエジプト
近代への覚醒―ムハンマド・アリ朝の成立
帝国への道―強兵策と領土拡大
挫折―超大国・英国の壁
行財政改革―近代的中央集権国家の誕生
近代化と殖産興業―経済的自立の模索
ムハンマド・アリの時代―その光と翳
反動と転機―アッバースとサイード
脱亜入欧―イスマイルの挑戦
転落―植民地化への道
最初の革命―そしてその挫折
第二の革命―独立回復への長い道
落日に向かう王朝―ファルークの時代
エジプト革命―王朝の終焉
スエズ動乱―帝国への挑戦
エピローグ―スエズ以降

著者等紹介

山口直彦[ヤマグチナオヒコ]
1962年生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。日本貿易振興機構のバグダッド、ロンドン、カイロ、ジャカルタの各事務所勤務、公正取引委員会事務総局国際協力企画官などを経て、日本貿易振興機構に勤務。専門は中東の政治・経済、近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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むとうさん

2
エジプト情勢が話題に上っていることもあり読んでみた。特に前半の、エジプトが近代化していく過程が様々な要素が絡み合っていて複雑ながらも面白い。経済、政治、国際関係、人々の思想・・・と、全ての要素が国家を語る上で必須だと再認識。もともと問題意識の1つに日本の明治維新との比較があったこともあり、日本での事象に置き換えて説明する部分も。ちょっと「?」と言いたくなる置き換えもあったが。当初の目的とはちょっと外れた読書になってしまったが、それを補って余りあるものは得られたと思う。2011/02/09

ての字

1
通史で読みたかったので読破。日本の似た立ち位置の人物と比較する記述があり、それなりにわかりやすい。日本の維新がどれほど恵まれていたかをつらつら感じる。アラブ諸国との関係は現代史になって記述が多くなるのでアラブとの関係を知りたい向きには他の本もあわせて読む必要がありそう。2010/04/29

MIRACLE

0
ムハンマド・アリ朝の成立(1805)年からの200年間の動きを追った本。本書の長所はとにかく文章がよみやすいことだ。また同時期の日本の状況に言及していて、日本史の知識も活用できる。このような読ませる工夫は必要だと思う。ただし改訂版が出ているため、本書はその役割を終えている。注意が必要だ。2012/06/11

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