エリア・スタディーズ<br> アルゼンチンを知るための54章

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アルゼンチンを知るための54章

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  • サイズ B6判/ページ数 388p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750321851
  • NDC分類 302.65
  • Cコード C0336

出版社内容情報

南米大陸の最南端に位置するアルゼンチンは、タンゴやサッカーを通して日本人ファンも多い。本書はアルゼンチン生まれの日系2世である著者が、歴史、社会・文化、国民性、政治経済、日系人社会の視点から「明るくおしゃれで見栄っ張り」な国の実像を描く。

はじめに
1 歴史上のおもな出来事
 第1章 ルーツと先住民――スペインからの独立まで
 第2章 独立戦争――泥沼化する戦局
 第3章 対外債務問題のはじまり――首都と地方の対立
 第4章 ロサスの強権政治――パンパの精神と伝説の反映
 第5章 アルゼンチンの「明治維新」?――ミトレ、サルミエント、アベジャネーダ政権の功績と事件
 第6章 「南米のパリ」――二〇世紀初頭のブエノスアイレス
 第7章 ガウチョ――アルゼンチンを代表するアイデンティティ
 第8章 中産階級の誕生――経済格差の広がる首都と地方
 第9章 ペロン大佐の登場――激動する国内外情勢
 第10章 功績と遺産――ペロン政権の一〇年
 第11章 エビータ――伝説と政治的存在
 第12章 繰り返される政権交代――二七年間の軍政・民政権時代
 第13章 不安定な政情――ゲリラの登場、ペロンの再登場と最後の軍政権
 第14章 「失われた一〇年」――一九八〇年代の経済政策
 第15章 九〇年代の栄光と影――一ペソ=一米ドルの固定相場制を導入
2 社会と文化
 第16章 「ビベサ」――民族的ずる賢さというアルゼンチン気質
 第17章 「ルン影響――最大の要因は貧困問題
 第32章 警察と司法の脆さ――悪名高いブエノスアイレス州警察
 第33章 記録的な失業率と失業者の実態――最大の打撃を受けた建設・サービス部門
 第34章 「ブラック労働」――インフォーマルな雇用創出阻害要因
 第35章 開き直った脱税――「優れ」た「節税」の知恵
 第36章 税源と財政の「バランス」――法人に偏る税収
3 政治と経済
 第37章 議会と議員――中南米で第2位「政党汚職率」
 第38章 大統領という「天下人」――いまだ不安定な政治システム
 第39章 地方有力政治家「カウディージョ」の力――「ファミリー」で権力基盤を固め地域全体を支配
 第40章 不健全な民主主義――利益を求めて誕生した無数の政党
 第41章 軍と軍部の政治的役割――政治は軍を利用し軍は政治を利用する
 第42章 「五月広場」――軍政権と人権抑圧問題
 第43章 輸入代替制度の失敗――行き詰まる国内産業優遇政策
 第44章 リスクの高い投資先――ビジネス環境の再構築が急務
 第45章 メルコスール――ブラジルとの貿易摩擦が最大の課題
 第46章 払えない債務――長年の失政と無責任体制の「積み重の旅
アルゼンチンを知るためのブックガイド
あとがき
政府関係機関リスト

はじめに
 南米の最南端に位置するアルゼンチンは日本からもっとも遠い国である。飛行機の便が増えたとはいえ日本からの直行便はなく、アメリカもしくはヨーロッパ経由で最低一度は乗り換えが必要である。最近、マレーシア-南アフリカ-ブエノスアイレス便というのができたのだが、クアラルンプールで乗り換え、南アフリカではヨハネスバーグとケープタウンで二回乗り換えるため三五時間以上かかる。かなりの長旅になるが、南アフリカを観光しリフレッシュして、少し時差ボケを解消してからタンゴとサッカーの国に到着するのも悪くないという人もいる。
 日本でアルゼンチンといえば、華麗なタンゴやサッカー、広大なパンパ(大草原)やおいしい牛肉、そしてヨーロッパの童話『母を訪ねて三千里』などがイメージされるのではないだろうか。また一九七〇年代後半から九〇年代初頭まで不況、ハイパーインフレ(物価が短期間に数倍、数十倍になるインフレ)、国際収支の悪化、対外債務の累積など経済が非常に悪化していたことをご存知の方もいるだろう。一九八二年にはイギリスと戦争を起こしたこと、サッカーのワールドカップに二回優勝し世界的に有名な選手がいることをご記憶されている方も多ったのも、もう一つの事実である。
 アルゼンチンという国は、以前から「われわれは他の南米諸国とは違う」という部分を強調しており、社会的にも文化的にも、そして経済・政治的にもその違いをアピールしてきた。当然ながら、こうした特徴は外交にも表れ、アルゼンチン人そのものの気質にも反映され、周辺諸国をはじめ世界から評価されることもあればひんしゅくを買うこともしばしばあった。近隣諸国とは摩擦も絶えず、戦争を引き起こしかねない事態もあった。
 アルゼンチンは、経済や社会構造から見ても先進国でも途上国でもなく、わかりにくい国だとされてきた。一九世紀末、日本の明治維新と同じように近代化を急ピッチで進め二〇世紀初頭、一九三〇年頃までは世界第五位の先進国(経済大国)であったアルゼンチンは、一九六〇年頃から日本とは逆方向に急落する。インフレや景気の停滞、累積債務問題、慢性的な財政赤字で経済は悪化し、政治的には軍政と不安定な民政を繰り返してきた。現在は国際経済から孤立しないよう懸命であるが、いまなお有効な施策を見出せずにいる。天然資源の少ない日本から見れば理解に苦しむ状況である。豊かな国土と少ない人口、教育・教養水準も比較的高い国
 第3部は、現状を把握するための経済、政治情勢を、あまり知られていない側面からアプローチしている。税に対する意識や政治家たちに対する期待と不満、大統領と地方の有力政治家「カウディージョ」の役割、歪んだ政策決定過程と利権がらみの産業構造、そして日本でも話題になっている債務問題等を紹介している。
 そして第4部では、筆者のルーツである日系人の移民コミュニティと日本との関係に触れる。これまでの日本とアルゼンチンの関係を知ることは今後の両国間の関わりを探るうえでさまざまなヒントがあるだろう。
 以上の側面を通してアルゼンチンの全体像を描くことによって、少なからず、今後日本も参考になるもの、せめて「してはならないこと」を、読者はある程度イメージできるかもしれない。本書のあとがきはそうした想いを込めて執筆した。
 来日して約一五年になるが、日本人が描いているアルゼンチンのイメージはあまりにも単純すぎる側面があり、社会の本質、根底、底力、危険性、将来性などを理解していないように感じることが多い。
 一方、筆者のように海外に住んでいると、祖国をノスタルジックに想うようになり、良い側面ばかりを強調しがちになってしま可能性は十分にあると考えられる。
 ビジネスや文化交流など何らかの形でこの国とすでに関わっている人たち、またはこれから関わっていこうとしている人たちに、本書が少しでもお役に立てば幸いである。
 さらにアルゼンチンに住んでいる日本人や日系人の方にも本書が届いた場合には、新たな発見の機会となることを望んでいる。
 最後に、本書の執筆を提案していただいた元三井物産の社員で、現在ラテンアメリカの文化交流活動で活躍されている平尾行隆氏に感謝するとともに、編集過程では明石書店の大江道雅氏、法月重美子氏、アルゼンチン大使館の職員の方々、写真家で友人のイレーネ賀集氏、アルゼンチン在住で旅行コーディネーターをしているモニカ小木曽氏、その他有意義な助言やアドバイスをいただいた方々に! Muchas Gracias!(どうもありがとう)と言いたい。もちろん、執筆作業を優しく見守り、ふだんどおりの家庭環境を提供してくれた妻RIKOには感謝しても感謝しきれない。
 そして、四十数年前に日本から移民したアルゼンチン在住の両親(ブエノスアイレス州エスコバール市の松本毅と和子)や兄弟、たくさんの夢や希望を抱いて海を渡った日本人移民の方々や、両国友好のた

目次

1 歴史上のおもな出来事(ルーツと先住民―スペインからの独立まで;独立戦争―泥沼化する戦局 ほか)
2 社会と文化(「ビベサ」―民族的ずる賢さというアルゼンチン気質;「ルンファルド」―アルゼンチン特有の用語 ほか)
3 政治と経済(議会と議員―中南米で第2位「政党汚職率」;大統領という「天下人」―いまだ不安定な政治システム ほか)
4 アルゼンチンと日本(移民社会のなかの日本人移民―勤勉さと正直さ、誠実な対応で好評;戦後の日系人社会―制度化された入植事業 ほか)

著者等紹介

松本,アルベルト[マツモト,アルベルト][Matsumoto,Juan Alberto]
1962年アルゼンチン生まれ。日系二世。1988年ブエノスアイレスのサルバドル大学国際関係学部を卒業。マルビーナス(フォークランド諸島)戦争に従軍する。90年には日本の文部省の奨学生として来日。97年、横浜国立大学大学院国際経済法学研究科経済関係法コース「労働法」を専攻、修士号取得。92年から労働省の「日系人雇用サービスセンター」の通訳・相談員を務める。スペイン語の商業・渉外法務翻訳を専門とする会社を経営。2001年から、在日日系人就労者向けのスペイン語情報誌『MUSASHI』を発行。2004年、産経新聞オピニオンプラザ「私の正論」第360回「外国人労働の受入をどう考えるか」で入選。「ISS通訳研修センター」と「日西翻訳研究塾」ではスペイン語通訳育成の訓練講師を務める一方、海外日系人協会では、中南米日系人研修の講師として「日本人移民史」「日本の教育」「日本の歴史」の講座を持っている。「外国籍県民かながわ会議」元委員。神奈川県「住宅政策懇談会」元委員。「かながわ外国人すまいサポートセンター」元理事。日本アルゼンチン協会元理事。横浜市「国際性豊かなまちづくり委員会」委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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