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日本の移民政策を考える―人口減少社会の課題

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  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750321820
  • NDC分類 334.41
  • Cコード C0036

目次

第1部 移民受け入れをどう考えるか?(外国人労働者から、外国人、移民へ;移民受け入れに関する議論の整理)
第2部 既に多くの外国人が国内で働いている(外国人労働者導入の経緯;どのような外国人が働いているのか ほか)
第3部 外国人が日本で生活している(従来の制度のなかで外国人が直面する困難;多文化社会の課題 ほか)
第4部 どうする?移民政策(「多文化共生庁」がなぜ必要なのか;「多文化共生庁」がもたらすもの ほか)

著者等紹介

依光正哲[ヨリミツマサトシ]
一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現職:一橋大学大学院社会学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

本格的な少子高齢化社会を迎える日本が、とるべき選択肢とは? 経済成長を維持するための移民の大量受け入れか、一定の安定を目指して限定的に移民を受け入れる道か。一人ひとりの読者が問題を考えるための指標や視点を多面的に提示する。

はしがき
第1部 移民受け入れをどう考えるか?
 はじめに
 第一章 外国人労働者から、外国人、移民へ
  第一節 「外国人労働者」から「外国人」へ
  第二節 「外国人」から「移民」へ
 第二章 移民受け入れに関する議論の整理
  第一節 移民受け入れに関する二つの報告書
  第二節 各省庁の基本姿勢
第2部 既に多くの外国人が国内で働いている
 第一章 外国人労働者導入の経緯
  第一節 一九八〇年代後半の日本経済
  第二節 豊かな社会の労働観と人手不足
  第三節 出入国の管理と外国人労働者
 第二章 どのような外国人が働いているのか
  第一節 就労する外国人の四区分
  第二節 就労を目的とした在留資格の外国人
  第三節 身分または地位に基づく在留資格の外国人
  第四節 非正規就労者(不法就労者)
  第五節 外国人研修生の「研修」と「技能実習」
  第六節 留学生・就学生・家族滞在者のアルバイト
 第三章 いわゆる単純労働分野の問題
  第一節 一九八九年の入管法改正
  第二節 「外国人雇用状況報告」からみた就労状況
  第三節 間接雇用の拡人被災者は?
 第四章 非正規滞在外国人の人権救済に向けて
  第一節 外国人数の増加と多発する人権侵害
  第二節 非正規滞在外国人のおかれている状況
  第三節 具体的な相談事例
  第四節 在留特別許可を求める非正規滞在外国人
  第五節 おわりに
 第五章 判例からみた外国人
  第一節 外国人の法的地位
  第二節 在留をめぐる問題
  第三節 労働をめぐる問題
  第四節 社会保障などをめぐる問題
  第五節 公務就任権をめぐる問題
  第六節 参政権をめぐる問題
  第七節 刑事事件における問題
第4部 どうする? 移民政策
 第一章 「多文化共生庁」がなぜ必要なのか
  第一節 明日の日本を誰が担うのか
  第二節 マイノリティへの配慮と権利保障
  第三節 「外国人」対「日本人」という二項対立的な捉え方からの脱却
  第四節 外国籍住民のまちづくりへの参画と意見を反映する機関が必要
  第五節 ボランティアの有効活用と資格付与システム
  第六節 大学と外国人留学生の問題
  第七節 共生コストの重みと財政支援
  第八節 新聞メディアの外国人

はしがき
 日本においては、ここ一五年ほどの間に、外国人労働者問題に関する書物は数多く出版されてきたが、移民問題に関する書物はあまり出版されていない。極端にいえば、外国人労働者と移民とではどこが異なりどこが同じなのか、という点の一般的理解もなされていない状況にある。しかし、グローバリゼーションの波のなかで、外国人労働者は今後も増加するであろうし、日本人になる外国籍の人は増加しており、我々は「移民」の問題を避けて通ることができない状況に立ち至っている。
 ところで、外国人労働者問題や移民問題に関しては、論ずる人の立場・認識・目標などによって多種多様な主張がなされ、いわば百家争鳴の状態にあり、移民問題について一つの統一的見解に収斂させるほど議論は煮詰まっていない。
 本書は移民政策研究会の参加メンバー(依光正哲、鈴木江理子、宣 元錫、山口智之、伊奈正高、吉成勝男、山田正記、川村千鶴子、津川 勤)が分担執筆したものであるが、この移民政策研究会でも、参加メンバー個人はそれぞれ異なる意見・主張をもっている。本書では、大きくは「移民受け入れ」の是非に関する意見統一を行わず、また、個々の問題に関する評価についても意見の滞在の長期化に伴い、事実上の「移民」を受け入れていることと等しい状況になっていることを認識すべきである、と主張する。

 第2部では、日本の国内で多くの外国人労働者が働いている現状・実態を明らかにしている。外国人の就労に関しては、統計的に把握することが困難であり、不完全な統計資料や個別情報に基づいて分析せざるを得ないのであるが、本書では、「就労を目的とした」外国人や日系人、外国人技能実習生、留学生のアルバイト、さらに不法就労者について、その就労実態と問題点を示している。ところで、本書では、いわゆる「不法就労」を「非正規就労」と把握する立場をとっている。決して資格外就労やオーバーステイを奨励するためではない。彼・彼女らの多くは日本社会の労働の一翼を担っているにもかかわらず、権利侵害の被害者となるケースが多く、「不法」という表現が彼・彼女らへの人権侵害を助長することにつながりかねない、という配慮からである。

 第3部では、外国人が日本の各地で生活し、地域のレベルでは多文化社会という現実が進展している姿が描かれるとともに、「非正規」の滞在者のおかれている困難な状況が報告され、さらに、判例からみた場合、就までに合計一〇回の研究会を開催してきた。毎回、参加メンバーが研究成果を発表したり、特定のテーマに関して招聘した講師の報告を聞いたりして、移民問題に関する認識を深めてきた。そして、その成果を基礎に報告書を取りまとめることとなり、各メンバーは執筆分担に従い、自己の責任においてそれぞれの章・節を執筆し、二〇〇五年二月の段階でほぼ原稿が完成した。完成した報告書は移民問題に関してほんの一歩踏み出したに過ぎない性格ではあるが、この報告書を公刊することは日本における移民研究の空白部分を少しでも埋め、さらに移民問題への国民的関心を惹起するうえで意義のあることと考え、出版の可能性を模索した。

二〇〇五年七月
執筆者を代表して
依光 正哲