出版社内容情報
小泉内閣がすすめる構造改革。アメリカを中心とする市場のグローバリゼーションへのすりよりは貧富の格差を増大させ、雇用と生活の破壊を進行させている。構造化した不況と破壊的な市場主義の限界を超える道を対談、論考を交えて多角的に分析する。
特集 破壊的市場主義を超えて
巻頭対談 いまや政権交代のときがきた(橘木 俊詔[京都大学教授]×森永 卓郎[エコノミスト]
「改革=生活破壊」の一〇年(山家 悠紀夫[暮らしと経済研究室])
年金と雇用と賃金、生活時間も逆転配分せよ(小林 良暢[グローバル総研所長])
二一世紀初頭の医療改革の選択(二木 立[日本福祉大学教授])
「雇用破壊」に未来は無い(成川 秀明[連合総研上席研究員])
賃金破壊に歯止めを(小畑 精武[自治労公共民間労組協事務局長])
市場社会のチェック機能と企業文化(西村 理[同志社大学教授])
広がる経済組織の選択肢(宮崎 徹[法政大学兼任講師])
「憲法改正国民投票法」の基本原理(石埼 学[亜細亜大学教授])
イタリアの改憲論の動向と憲法改正国民投票制度(内藤 光博[専修大学教授])
はぐれ組で行こうぜ!―山田昌弘著『希望格差社会』のことなど(齋藤 寛[大学教員])
被害者が加害者とされている東海村臨界事故(望月 彰[たんぽぽ舎会員])
ノスタル爺の切なさよ―「つくる会」公民・歴史教科書批判(川本 和彦[河合塾講師])
裁判員制度・刑事訴訟法のbr>05秋号(Vol.5)予告
『現代の理論』からのお願い
編集後記
特集のことば
東京・六本木の“ヒルズ族”と呼ばれる、あのライブドアのホリエモンや楽天・三木谷社長、あるいはサイバーエージェント・藤田、シークエッジ・白井の両若手社長、それにヒルズ族ではないが所得番付トップの「年収一〇〇億円サラリーマン」の投資顧問会社・斉藤部長などには、確かに何か新時代の潮流を感じさせるものがある。でも、この人達、たしか藤田氏を除いてみんな東大、一ツ橋、早稲田の出身のばすだ。他方、大学にも行かない、大学を出ても会社に就職しないフリーターたちは、政府の調査によると、その八割が「年収三〇〇万円以下」である。そのフリーター第一世代も今や三〇歳代半ばに達し、ヒルズの若手社長と同世代である。
明らかに、世の中の潮目が変わり始めている。しかし、それが良い方向にむかっているのか、悪い方向なのか、まだ定かでない。しかし、この特集は悪い方位に向いているという判断に基づいて組まれている。「失われた一〇年」、「小泉改革五年」、時の政権は「改革、カイカク」と声高に叫び続けてきたが、その本質は「破壊的市場主義」政策で、その間具体的にやってきたことといえば、日本のゲートシティーともいえる六本木六丁目とそれ以外のぐ