出版社内容情報
ポーランドの高校生のための現代史(1939~2001年)教科書の全訳。タブーだった「カティンの森事件」の記述をはじめ、自らの負の歴史である「イェドヴァブネ事件」等、豊富な事実を記述。歴史的事実から現れる真実を見つめる目を生徒に養わせる。
序
第1章 戦争への準備
第2章 九月戦役
第3章 地下国家の成立
第4章 占領
第5章 征服
第6章 大同盟
第7章 ホロコースト
第8章 地下国家
第9章 転換期
第10章 ポーランド問題
第11章 既成事実としてのポーランド
第12章 ポーランド国民解放委員会の発足とワルシャワ蜂起の勃発
第13章 臨時政府
第14章 ヤルタ
第15章 挙国一致臨時政府
第16章 ポツダム
第17章 戦争終結 / 太平洋戦争
第18章 国民投票
第19章 冷戦の始まり
第20章 総選挙
第21章 退去 / 移住 / 亡命
第22章 トルーマン・ドクトリン / マーシャル・プラン
第23章 コミンフォルム
第24章 スターリン主義への道
第25章 商業をめぐる闘い / 三ヵ年計画
第26章 ゴムウカの排除 / ポーランド統一労働者党の成立
第27章 ローマ・カトリック教会
第28章 2つのドイツ国家 / 北大西洋条約機構(NATO)
第29章 極東と中東
第30章 ポーランドのスターリン主義
第31章 スターリンの死
第32章 第三世界
第33章 雪解け
第34章 ハンガリー動乱 / スエズ紛争
第35章 ヴワディスワフ・ゴムウカの“
序
なぜ歴史を学ぶのか
「歴史は生きていく上での師である」(Historia magistra vitae est)とよく言われる。美しい格言(アフォリズム)だが、その通りであったとは思われない。その格言が事実なら、歴史学を生業(なりわい)にしている者――他ならぬ彼らが一番よく歴史を知っている――が社会を治めるべきだということになろう。私はそんな国に暮らしたくない。
「歴史は生きていく上での師である」との確信から、類型を模索する傾向がある(政治家や時事評論家に顕著に観察される)。すなわち、過去の事件と現在の出来事の類似点を探るという行為である。時にその類似には驚愕すべき点がある。しかし、それは大したことではない。なぜなら、主人公はまったくの別人なのだから。絵、写真、記録映画で見る彼らは我々に酷似している。現代の我々と同じ姿恰好(かっこう)にすれば、見分けが付かないかのようだ。しかし、価値観、人生経験、地理的視野、世界認識において、彼らが別人であることに変わりはなかろう。まさにこうしたことから、事件の類似性を指摘することがしばしば誤りにつながるのである。
では、なぜ歴史を学ぶのか。歴史を知ったからといって日々の生活にいかほきだ。本書で私はまさにその点を示そうと努めた。
本書は年代順に編纂されている。60年間の歴史を描きながら、事件のその後を示そうとした。最も困難だったのは、ポーランド史をヨーロッパ史や世界史の中で位置付けることであった。世界史からは、私が最も重要だと考える動きを拾った。教科書が極めて膨大な内容を収めることになるので、多くは割愛せざるをえなかった。
事実を列挙するだけでなく、その解釈も示すようにした。評価については簡潔に示した。
本書の利用法
本書には2種類の活字が用いられている。小さな活字で印刷されているところは、主に文系クラス用で、発展学習のためのものである。
本書の最後にポーランド史と世界史を対照させた年表と人名索引を載せた。これらを利用すれば教科書の利用が容易になるはずだ。索引を上手に利用できることが、これから先も大変重要だ。それができれば、どんな学術書でもずっと容易に利用できるはずだ。
この教科書には人名や年号が山ほど出てきて、そのために圧倒されそうになるかもしれない。しかし、授業時間内で終えられる程度に挙げたつもりであり、また常識的なことについては書いていない。だからと言って、
目次
戦争への準備
九月戦役
地下国家の成立
占領
征服
大同盟
ホロコースト
地下国家
転換期
ポーランド問題〔ほか〕
著者等紹介
ガルリツキ,アンジェイ[ガルリツキ,アンジェイ][Garlicki,Andrzej]
1935年、ワルシャワ生まれ。1956年、ワルシャワ大学歴史学部卒業。1961年、博士号取得。1972年、大学教官資格(habilitacja)取得。1981年、ワルシャワ大学准教授。1987年、同大学教授。ワルシャワ大学歴史学部長を3期務める。1980‐81年には北海道大学スラヴ研究センターで在外研究を行っている
渡辺克義[ワタナベカツヨシ]
1960年、新潟県生まれ。ワルシャワ大学大学院修了。東京大学大学院修了。博士(文学)。山口県立大学国際文化学部助教授
田口雅弘[タグチマサヒロ]
1956年、山形県生まれ。ワルシャワ中央計画統計大学(SGPiS)卒。京都大学大学院博士課程単位取得満期退学。岡山大学経済学部助教授
吉岡潤[ヨシオカジュン]
1969年、京都府生まれ。京都大学大学院博士課程修了。博士(文学)。ポーランド科学アカデミー(PAN)留学。津田塾大学学芸学部専任講師
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感想・レビュー
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