出版社内容情報
現在ヨーロッパでは主流を占める中道左派社会民主主義政権の理論的なリーダーたちの論考を中心に、21世紀を切り開く社会的民主主義の可能性と課題に迫る。
特集 社会的民主主義の最前線
社会的民主主義の最前線(住沢博紀 [日本女子大学教授])
二〇世紀西欧社会主義あるいは社会民主主義について(ドナルド・サスーン[ロンドン大学クイーンメアリー校教授] 翻訳・伊藤克容[成蹊大学助教授])
社会的民主主義の理論(トーマス・マイヤー[ドルトムント大学教授] 翻訳・住沢博紀(日本女子大学教授])
スペイン社会労働党サパテロ首相とイラク戦争(フェルナンド・バイェスピン[マドリード自治大学教授 翻訳・武藤祥(東京大学大学院生])
EUリスボン戦略に関するコック報告と社会的ヨーロッパの展望(長尾伸一[名古屋大学教授])
サステイナブルシティとEU環境ガバナンス(岡部明子[千葉大学助教授])
[深層] 天下大乱の予感 (歳川隆雄[『インサイドライン』編集長])
「第三の道」からポスト・デモクラシーへ?(小川有美[立教大学教授])
緑の政治から見たフランス社会党(畑山敏夫[佐賀大学教授])
スウェーデンの高齢者福祉と社会的民主主義(斉藤弥生[大阪大学助教授])
[頂門一針] 自己顕示の時代(頑童山人)
知識社会と現代資本主義(後藤邦夫[桃山学からの便り
05夏号(Vol.4)予告
『現代の理論』からのお願い
編集後記
特集のことば
第三号は、「社会的民主主義の最前線」という特集号を組んだ。『現代の理論』の伝統を継承して、今回はヨーロッパに飛んだ。ブッシュのアメリカが小泉政権を取り込んでネオコンの世界戦略を推し進める現在、あるいはアメリカ流シェアーホルダー価値(株主のものとしての企業)がグローバルに展開される二一世紀初頭、日本の批判的な人々の目は、再びヨーロッパに向けられている。
「社会民主主義」ではなく、なぜ「社会的民主主義」となっているのか、読者には気になるところであろう。第一に、二〇世紀社会民主主義との区別を強調したいためである。社会主義の多様な形態ではなく、むしろ民主主義の多様な形態として、二一世紀社会民主主義を考察するためである。第二に、現存した二〇世紀社会民主主義は、ドイツやイギリスで典型的なように、一国レベルの固有名詞としての社会民主主義であった。グローバル化やEU地域統合に見られるように、現在ではより普遍的な社会的民主主義論の可能性が問われなければならない。
また「最前線」として、これまでにない議論やテーマを集めた。歴史と理論に関しては、それぞれ大著を著し第一人者であるサスーンとマイヤーに依頼した現代の理論』を舞台に、多角的に継続・深化させていきたい。 ------------------住沢
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- 和書
- 早稲田大学世界への飛翔