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死刑廃止に向けて―代替刑の提唱

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  • サイズ A5判/ページ数 336p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750320663
  • NDC分類 326.41
  • Cコード C0032

出版社内容情報

日米以外の先進国では当たり前の風潮となった死刑廃止。本書は、死刑制度廃止論に携わってきた筆者の積年の提言をまとめた論考集。死刑囚の現状、米国各州での廃止経験、国連規約人権委員会の廃止勧告、国会での決議等から、その妥当性を多面的に検証する。

1―日本の死刑
1人間の尊厳と受刑者の法的地位
人間尊厳の普遍性/刑罰における「人間の尊厳」/日本行刑における「人に値する存在」/厳正独居と人間の尊厳/死刑確定者の処遇と人間の尊厳/人権規約と国内法規/人間の尊厳の尊重/付記=受刑者の法的地位
2 国際人権(自由権)規約の政府報告書の検討――とくに生命に対する権利(第六条)について
はじめに/死刑適用の増加/問題のある世論調査/刑法草案の死刑存置/死刑確定者の処遇/死刑事件の裁判/恩赦の路を閉ざす/むすび
3 国連規約人権委員会の死刑論議――第三回規約人権委員会を傍聴して
はじめに/規約人権委員会とは/審議日程と審議事項/政府報告とそれに対する異議/死刑執行停止連絡会議の異議/審議の状況/死刑とその関連条項に関して/NGOの評価/人権規約と選択議定書/審査報告書での提言と勧告/むすび
4 日本の死刑状況と政府報告書審議――第四回規約人権委員会を傍聴して
審議状況/日本政府の人権感覚/死刑の問題状況/国際準則からの問題点/まとめ
5 人権の国際基準と日本の現状――ウォッチ! 規約人権委員会どこがずれてる?
死刑存続の根拠/死刑適用の状況/死刑判決>概況/居住環境/物品の給付と自弁/面会/手紙の制限/食生活について/運動について/清潔・衛生面について/医療や健康診断について/書籍・新聞・パンフレットなどの閲読について/テレビ・ラジオについて/領置物の管理に関する規則/差入れの制限について/自費購入の制限について/房内規則について/身体検査、捜検、巡視について/信仰生活について/請願作業について/法的機関への連絡について/再審請求について/その他/あとがき
3 「行刑改革会議」の提言と死刑
行刑改革会議の性格/刑事施設法案と死刑条項/確定死刑囚の法的地位/提言と確定死刑囚の処遇/まとめ
4 長期受刑者の諸問題
序/長期受刑者の意味/アメリカの終身刑/日本における無期懲役/長期受刑者の精神状況/長期受刑者の処遇/終身刑導入の問題点
4―死刑廃止に向けて 
1 死刑に代替する終身刑について――アメリカでの現状を踏まえて
日本における死刑代替刑論議/終身刑の種類/終身刑を支持する世論/終身刑受刑者の課題/終身刑の導入
2 死刑執行停止し終身刑の導入を!
3 犯罪被害者救済の問題状況
序/アメリカにおける被害者救済の生成と発展/アメリカにおける被害

はじめに
 死刑廃止を推進する議員連盟は、近く「重無期刑の創設及び死刑問題調査会の設置等に関する法律案要綱」を国会に提出する、と報じられている。その骨子は、1死刑制度調査会の設置、2死刑の執行停止、にある。また二〇〇四年一〇月に宮崎市で開かれた日本弁護士連合会の第四七回人権擁護大会でも「二一世紀日本に死刑は必要か」との主題でシンポジウムが開かれた。同大会では、1死刑執行停止法の制定、2死刑制度に関する情報の公開、3死刑問題調査会の設置、を決議している。
 国会および弁護士会において期せずして死刑問題に焦点が当てられたことは、長年にわたり死刑廃止運動に携わってきた者の一人として心から歓迎の意を表明しておきたい。しかし、議連案および弁護士会の決議等は、死刑廃止に向けての一つの手順を示したものであって、具体的手段の提示には残念ながら至っていない。
 私は、かねてから死刑廃止への手段の一つとして、1死刑執行停止法の制定、2死刑に代替する終身刑の提唱、をしてきた。議連および弁護士会が終身刑を具体的に提唱していないのには、それぞれの事情と配慮があるのであろうが、今、死刑に関し意識ある国民の多くが求め、期待しているの

目次

1 日本の死刑(人間の尊厳と受刑者の法的地位;国際人権(自由権)規約の政府報告書の検討―とくに生命に対する権利(第六条)について
国連規約人権委員会の死刑論議―第三回規約人権委員会を傍聴して
日本の死刑状況と政府報告書審議―大四回規約人権委員会を傍聴して
人権の国債基準と日本の現状―ウオッチ!規約人権委員会どこがずれてる?)
2 アメリカの死刑(ニューヨーク州の死刑復活;アメリカの死刑状況―『ニューヨーク・タイムズ』紙から;アメリカにおける確定死刑囚の扱い―ニュージャージー州立刑務所の例にみる;死刑執行抗議集会へのメッセージ)
3 日本における死刑囚(確定死刑囚の分析;死刑囚・拘置所生活の実態―死刑囚へのアンケートから;「行政改革会議」の提言と死刑;長期受刑者の諸問題)
4 死刑廃止に向けて(死刑に代替する終身刑について―アメリカでの現状を踏まえて;死刑執行停止し終身刑の導入を!;犯罪被害者救済の問題状況;死刑と人権―世界の潮流と日本)

著者等紹介

菊田幸一[キクタコウイチ]
1934年生まれ。1957年中央大学法学部卒業。1964年明治大学大学院博士課程修了。1963~64年カリフォルニア大学犯罪学部留学。法務省法務総合研究所研究官補(1962~67年)を経て、明治大学法学部教授、法学博士、明治大学犯罪学研究所所長、死刑執行停止連絡会議代表世話人、弁護士
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