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アイルランドを知るための60章

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750320212
  • NDC分類 302.339
  • Cコード C0336

出版社内容情報

北海道ほどの面積に人口390万人弱の小国だが、7000万人を超えるアイルランド系移民を通して国際的には強い影響力を持つ。日本との関係も深いこの国の魅力を、歴史や社会生活、文化など多彩な視点から豊富な写真とともに紹介する。

はじめに
1 アイルランド共和国の誕生まで
第1章 ケルトの再考――アイルランド人はどこから来たのか
第2章 聖者と学者の島――キリスト教の普及
第3章 北欧からの侵入者――ヴァイキングの時代
第4章 イングランドによる支配のはじまり――クロムウェルのアイルランド征服
第5章 独立への流れ――ユナイテッド・アイリッシュメンからフィーニアンへ
第6章 人口激減の引き金――ジャガイモ飢饉
第7章 海を越えたアイルランド人――移民
第8章 自由への戦い――アイルランド独立戦争
第9章 カトリック国家の成立――新生アイルランド
第10章 英国との合同か、アイルランド統一か――北アイルランド紛争
2 暮らしと経済
第11章 アイルランドのなかの土地柄――プロヴィンスとカウンティ
第12章 人口の三分の一が集まる首都――ダブリン
第13章 あいさつは天候ではじまる――灰色の空の下で
第14章 奇跡の九〇年代――失業率からみた経済成長
第15章 「ケルティック・タイガー」の秘密――経済急成長の舞台裏
第16章 産業基盤の二重構造――外資系企業と国内企業
第17章 EUのなかでの国造り――EU地域政策とともに進ツが意味するもの――ゲーリック・ゲーム
第32章 英国との複雑な関係の象徴――ラグビーとサッカー
第33章 ギャンブルは楽しい――ブックメーカーとナショナル・ロッタリー
第34章 出会いの場を求めて――マッチメーキングからダンスパーティまで
第35章 ビール片手に話が弾む――パブという社交場
第36章 ホスピタリティと出会う旅――B&Bに泊まる
第37章 ジャガイモ王国の食生活――アイルランドはおいしい
4 アイルランドを象徴する有名人たち
第38章 アイルランドの守護聖人――セント・パトリック
第39章 独立運動のヒーロー――マイケル・コリンズ
第40章 不人気な建国の父――エイモン・デ=ヴァレラ
第41章 アイルランド一の大富豪――トニー・オライリー
第42章 国民的エンターテイナー――ゲイ・バーン
第43章 まぼろしのW杯主将――ロイ・キーン
第44章 人権を守るという使命――メアリー・ロビンソン
5 芸術と文化の大国として
第45章 文学の声がこだまする――声と風景でめぐるダブリン
第46章 もう一つの世界へのまなざし――アイルランド文学の可能性
第47章 物語の秘める真実――アイルランドのフォークラム2 白熱するパブ禁煙論争
コラム3 新聞とラジオ
コラム4 アイルランドのダンス
アイルランドを知るためのブックガイド

《執筆者一覧(編者以外)》
池田寛子、大木京子、澤田倫子、高神信一、宮谷直樹、守安功、山本拓司

はじめに
 妖精と神話の国、神秘的なケルト文化、幻想的な風景。アイルランドについて語るとき、ミステリアスなベールで包まれたおとぎ話のような形容詞が使われることが少なくない。確かに、アイルランドは大地の緑が美しく、多くの伝統的な文化を継承してきた国かもしれない。しかし、二一世紀のアイルランドはIMD(国際経営開発研究所)による世界競争力年鑑で総合一〇位(二〇〇四年)にランクインした経済発展国でもある。とくに九〇年代のケルティック・タイガー景気以降、経済ブームによって人びとの生活は飛躍的に向上した。
 おとぎの国ではない現実のアイルランドを知ってほしい。そのような趣旨から、本書の構成づくりがはじまった。
 まず、ヨーロッパ西端の小さな島にどのように人びとが移り住み、他国からの侵略を受け、そして独立を勝ち取っていったかという歴史を振り返ることにした。長年にわたる英国による支配は、アイルランドの社会に根本的な変化を生み出し、現在に至るまで影響を及ぼしているといえる。そして、いまだに数多くの難題を抱える北アイルランド問題の複雑な背景について理解を深めてほしい。
 「ケルティック・タイガー」と呼ばれる経済成長は、・ミュージックのブームの発信地となった国。本書ではガイドブックのように単に有名な作家やミュージシャンの名前を並べるのではなく、文化が織り込まれた空間としてのアイルランドの社会状況を執筆者に分析してもらうことにした。さらに、より現代的なテーマとしてメディアの動向や若者文化についても目を向けている。
 こうして浮かび上がったのは、伝統的な要素を残しながらも、ダイナミックに変化を遂げる躍動的な現代アイルランドの像だ。そして、著しい発展の陰で、ほかの先進国が抱えているのと同様の社会問題も膨れあがっていった。二一世紀のアイルランドは、おとぎの国として生きていくわけにはいかないようだ。(後略)

目次

1 アイルランド共和国の誕生まで(ケルトの再考―アイルランド人はどこから来たのか;聖者と学者の島―キリスト教の普及 ほか)
2 暮らしと経済(アイルランドのなかの土地柄―プロヴィンスとカウンティ;人口の三分の一が集まる首都―ダブリン ほか)
3 仕事、家庭、余暇(会社のためでなく、自分のために働く―アイルランド人の仕事観;多様化する夫婦関係―今どきの結婚と出産・子育て ほか)
4 アイルランドを象徴する有名人たち(アイルランドの守護聖人―セント・パトリック;独立運動のヒーロー―マイケル・コリンズ ほか)
5 芸術と文化の大国として(文学の声がこだまする―声と風景でめぐるダブリン;もう一つの世界へのまなざし―アイルランド文学の可能性 ほか)

著者等紹介

海老島均[エビシマヒトシ]
1958年東京生まれ。上智大学文学部卒。筑波大学大学院博士課程中退。香川大学講師、高松工業高等専門学校助教授を経て、現在、びわこ成蹊スポーツ大学助教授。1992‐93年(アイルランド政府奨学生)および1997‐2001年にUniversity College Dublin(アイルランド国立大学)でスポーツ社会学を研究および現地の学校とクラブでコーチ(テニス・ラグビー)として活躍

山下理恵子[ヤマシタリエコ]
1963年東京生まれ。東京外国語大学卒。アイルランドのダブリン市立大学(DCU)修士課程修了。コミュニケーションとカルチュラル・スタディーズ専攻。関西外国語大学非常勤講師。ライター、翻訳家も兼任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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