出版社内容情報
アメリカという異文化のなかに飛び込んだ学生たちが見たもの、感じたこと、探し当てたものは何だったのか。ハーバード大学での研究発表という機会を与えられた学生たちの体験を、指導教官としての著者が追う。
はじめに
第1章 自分探し
参加者紹介/自己変革/カルチャー・ショック/内面的な問題/出会い/自己意志追求型/こだわり/カーテン/意志の代行/ひきこもり予備軍/約束/自分だったら型/経験と実感/落ち込み/失敗/感情のルール化/礼儀
第2章 自分のそと
仲間/自分なら/実務的解決/異文化人/不気味な人/自己呈示/行動思考型/知の力/目からうろこ/頭の中が真っ白/ルール/権威
第3章 やっと発表準備開始
英語力/英会話/S教授第一回ゼミ/英語ゼミ対応マニュアル/第二回ゼミ/発表準備/いよいよ明日/失敗を恐れず
第4章 発表当日
なんとか/公開研究発表 グローバル化と日本の教育の問題点
第5章 再び自分探し
見えがくれの他者/他者の困難/他者との交渉/コーエン氏という他者/不気味な他者/他者に敗北/自分探しの選択肢
第6章 結論にかえて――新しい出発点としての個の可能性
新しい出発点としての個の可能性/さらに終わりに
あとがき
はじめに
六人全員が、「自分探し」をやっている。初めは、本当にそうだった。どうしようもなく、そうだった。六人の参加者と一人の指導者が、アメリカは東海岸のボストンにやってきた。目的は、グローバル化対応、実験的海外体験である。結果を現地の大学(ハーバード)で、研究発表をする予定になっている。
出てくる前に、ずいぶん準備をした。しかしいったん、海外に来てみると、思ったようには行かなかった。きっかけをつかむことができない。どんなことがあっても、つかめるまで頑張ります。いったん日本を出たら、逃げませんと約束してくれた。でも皆さん、日本に居た時と同じ姿勢で、穴を掘っては、もぐって逃げようとする。本書は、言ってみれば、逃げる参加者と、先回りして捕まえようとするわたくしの、追いかけごっこの記録である。
参加者たちは、眼のまえの現実に対応できない。だからもちろん逃げたくなる。わたくしのほうでは、到達点は予定しているが、参加者の自分探しと、どう結ぶか試行錯誤だ。もちろん、皆さんのとまどいは、予想していた。異文化経験は、とまどいから始まる。けれども現実には予想を、はるかに超えたものがあった。このとまどいをふつうは、本人錯誤に伴うリスクを回避できる。本当は、試行錯誤が面白いのだけれど、仕事でどうしてもという人にとっては、迷わず結果を獲得できることは必要だ。今年の夏は、本書の参加者の一部と、新しい参加者を加え、システムを使って、研修を行うことになっている。本書の参加者は、当時全員が学生だったが、次回からは社会人が中心となる。本書を「学生編」とすれば、次は「社会人編」である。
目次
第1章 自分探し
第2章 自分のそと
第3章 やっと発表準備開始
第4章 発表当日
第5章 再び自分探し
第6章 結論にかえて―新しい出発点としての個の可能性
著者等紹介
宮永国子[ミヤナガクニコ]
国際基督教大学大学院比較文化研究科教授・教養学部社会科学科教授を経て、現在ハーバード大学研究員。個の可能性研究会代表
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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