出版社内容情報
DV防止3法を1997年に制定した韓国。DV防止法制定をめぐり日本国内の動きが活発になりつつあった1999年より3年間にわたって行われた調査をもとに、DV対策に関する日本と韓国の実態を研究者、医療・法曹関係者など専門の立場から浮き彫りにする。
第1章 日本と韓国のドメスティック・バイオレンスをめぐる状況
韓国の状況
1 家庭暴力研究の概要と実態把握…キム・ゼヨップ
2 家庭暴力被害女性への支援体系…パク・ヨンラン
3 家庭暴力をめぐる司法システム…イ・ミョンスク
4 家庭暴力被害女性のためのNGO活動と女性運動…ジョン・チュンスク
日本の状況
1 ドメスティック・バイオレンスの実態把握に関する研究動向…庄司洋子/渋谷敦司/妹尾栄一/佐々木典子
2 女性に対する暴力への対策の現状…原ひろ子/齋藤誠/湯澤直美
3 民間団体と女性運動の取り組み…波田あい子/高畠克子/亀田温子
第2章 日本と韓国のドメスティック・バイオレンスの実態と意識
1 韓国の家庭暴力対策関連二法制定以後における家庭暴力研究…ビョン・ファスン/パク・ヨンラン/キム・ゼヨップ/ファン・ジョンイム
2 日韓比較データ…汐見和恵/三具淳子
第3章 韓国におけるドメスティック・バイオレンスへの取り組み
1 韓国の家庭暴力対策関連二法と日本のドメスティック・バイオレンス防止法…齊藤誠
2 加害者対策と医療・教育
日韓比較の観点から、ドメスティック・バイオレンスの防止にとって有効な社会システムのあり方を探ることを主題に共同研究を思い立つにいたった理由は、以下の通りである。
まず、我が国と同様に儒教文化の影響の強い家族観を持つ韓国が、女性に対する暴力にかかわる三つの法の制定を、一九九七年までに実現させていたことがあげられる。さらに、韓国での先例は欧米諸国の例とは異なるかたちで、私たちにとって学ぶことが多いであろうという期待感も研究への意欲を大きくさせてくれるものだった。共同研究の計画を始めたのは一九九九年初頭で、ちょうど日本では参議院共生調査会、総理府男女共同参画審議会・女性に対する暴力部会、全国女性シェルターネットなどで、ドメスティック・バイオレンス防止法の必要性が論され始めたころだった。一方、韓国内では一九九八年七月に施行となった家庭暴力対策関連二法の効果等について、人々の注目が集まっていた時期だった。わたしたちは、一九九七年三月に日韓・女性に対する暴力プロジェクト研究会をつくり、両国の研究者たちと交流を重ね、研究に着手した。
二〇〇一年三月三日には、韓国の共同研究メンバーを東京に招聘し、研究成果の中間発表
目次
第1章 日本と韓国のドメスティック・バイオレンスをめぐる状況(韓国の状況;日本の状況)
第2章 日本と韓国のドメスティック・バイオレンスの実態と意識(韓国の家庭暴力対策関連二法制定以後における家庭暴力研究;日韓比較データ)
第3章 韓国におけるドメスティック・バイオレンスへの取り組み(韓国の家庭暴力対策関連二法と日本のドメスティック・バイオレンス防止法;加害者対策と医療・教育プログラム ほか)
第4章 ドメスティック・バイオレンスの克服に向けて(日本のドメスティック・バイオレンス防止法施行を迎えて;暴力被害女性への支援と社会福祉 ほか)
著者等紹介
庄司洋子[ショウジヨウコ]
1942年生まれ。立教大学社会学部教授。1977年ハーヴァード大学教育学大学院修士課程修了。専門は社会学
波田あい子[ハダアイコ]
1947年生まれ。明治学院大学社会学部修士課程修了。専門は臨床社会学、女性学
原ひろ子[ハラヒロコ]
1934年生まれ。1964年、米国ブリンマー大学Ph.D.取得。専門は文化人類学、女性学・ジェンダー研究
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- Numero Tokyo 18年1・2…