グローバル時代の宗教とテロリズム - いま、なぜ神の名で人の命が奪われるのか

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  • サイズ B6判/ページ数 505p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750317595
  • NDC分類 316.4
  • Cコード C0036

出版社内容情報

宗教はどうしてテロと結びつくのか。宗教コミュニティのメンバーによるテロ事件をとりあげ、テロ行為の実行者や支援者とのインタビューを通して、実行者の狙い、思考パターン、心情に迫る。宗教テロリズムによる暴力行為に終止符を打つ5つのシナリオとは何か。

 改訂版への序文

第1章 テロと神

第1部 暴力の文化

第2章 キリストの兵士たち
第3章 裏切られたユダヤ人
第4章 イスラムの軽視された義務
第5章 シク教の剣
第6章 東京の地下鉄で起きたハルマゲドン

第2部 州境暴力の論理

第7章 テロの劇場
第8章 コスミック戦争
第9章 殉教者と悪魔
第10章 戦士の力
第11章 神の思し召し

 解説 宗教的暴力の背後にあるもの◎立山良司
 訳者あとがき

 インタビュー・文通
 参考文献
 索引

 本書はマーク・ユルゲンスマイヤー著Terror in the Mind of God: The Global Rise of Religious Violence (University of California Press)の全訳である。副題が示すとおり、二〇世紀の終わりから世界各地で頻発するようになった宗教がらみのテロの代表的事例を検証し、その背後にある論理を解明しようとしたものだが、実は初版の刊行は二〇〇〇年一月、あの世界中を震撼させた9・11の一年半ほど前のことである。事件直後に新たな序文をつけたペーパーバック版が緊急出版され、さらに今夏には最新の情報と分析を盛り込んだ改訂版が刊行される。本書の訳出はこの改訂版の原稿をもとにした。
 二〇〇一年九月一一日に起きた世界貿易センタービルと米国防総省への航空機による自爆攻撃は、ビル崩壊の模様をテレビが即時に生なましい映像で伝えたこともあり、まさに全世界の人びとにテロの威力を見せつけた。やがてアル・カーイダというイスラム過激派テロ組織が事件に関与していたことが明らかになるにつれ、その行為の不条理さ、不可解さとテロの恐怖はいっそうつのった。しかしユルゲンスマイヤー氏が言うようにそのような宗教と暴力との暗い結びつきは過去一〇年から二〇年のあいだにすでに顕は、綿密な取材にもとづいた第I部の内容を踏まえ、「暴力のパフォーマンス」としてのテロという観点から宗教暴力の論理を分析し、テロ実行に至る段階の見極めとそれを防ぐための解決策を提案している。(後略)

訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てれまこし

2
奇しくもオウム死刑囚の刑執行報道のなか読了。「コスミック戦争」という概念が一つの鍵だが、橋川文三の「超国家主義」と重なる。既存の秩序の時間・空間枠を超えたレベルに対立を設定しようとするところに過激思想の「過激」たる所以がある。昭和テロリストたちがそこまで明確なイメージをもっていたか議論の余地があるが、石原莞爾の終末論的歴史観はこれに近い。天皇教も「コスミック戦争」観の形成に寄与したといえそう。ただ、聖人たちにも「コスミック戦争」観があったはずだが暴力に訴えることはなかった。その分岐点はどこなのか気になる。2018/07/06

hajimemasite

1
良著だった。2001年以降に執筆された本ながら、イスラームテロのみを切り口とせず、反中絶キリスト教やIRA、オウムなどのケーススタディも扱い、宗教全般におけるテロを扱っていたのは良い点。莫大な量のインタビュー経験から描かれる、テロ実行犯の動機や関心などの心理についての第一部はとてもよかったが、宗教暴力の論理を描く第二部は若干格落ちして見える。それでもテロリズムの両側から近代性などの視点も保ちつつグローバル時代の宗教テロの構造を書いた著作としては類稀なものであると考えられる。2017/06/25

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