出版社内容情報
現在10億の人口を抱える世界最大の民主主義国家インド。この国の地理・風土から農業生産,カースト制度・宗教・歴史遺産,アヘン栽培,そして近代産業史,躍進するIT産業,現代政治まで,古くて新しいインドの姿を50のトピックで概観する。
1 「インド」という国
国の形―多様な民族と生態系を統合する形/インドの名称と概念―変容を続けてきた「インド」という名前/インド国憲法・前文―インドという国がめざす理念/ほか
2 インドの現代政治
政治制度とその特徴―議院内閣制・共和制・連邦制/インドの政党制―会議派・インド人民党・州政党/現代インド政治の流れ―宗教・経済の強調と分権化/ほか
3 インド経済の変化
計画経済から自由経済へ―ヒンドゥー的成長からの脱出/インドの財閥と宗教・カースト―多角化するビジネスグループ/中間層・中産階層―21世紀インドは豊かな市民を生み出すか?/ほか
4 インド社会の変化
人口問題―世界人口の16%を占めるインド/カーストとは何か―細分化と統合の機能を持つシステム/ほか
5 インドの科学と技術
古代の科学と技術―「零=空」からの展開/古来の伝統技能―手わざの系譜/航海とその航法―「海のインド」という視点/ほか
6 インドの宗教・大衆文化
宗教―多宗教の国インド・その歴史的背景/仏教の衰退と拡大―インドにおける仏教の発展と滅亡,アジア各地への伝播/ほか
7 インドの環境問題
アメニティ―「
遅れた社会基盤、宗教的色彩の強い文化、停滞する経済、貧困と社会差別……。このような実態は今もなお残る。だが、二〇世紀末からインドは大きく変わってきた。二一世紀世界をリードする情報技術立国をめざすインドというのは、あながちお題目だけではなく、国際的にもみとめられつつある。このように大きく転換しているインド世界を、どのような側面に視点を合わせて、どう理解すればよいのだろうか。
インド(南アジア)についての総合的な事典には、『南アジアを知る事典』(平凡社)がある。ただ、同書は歴史的な事項の解説が中心であり、執筆者の専門上、南アジア研究のオーソドックスな内容・スタイルを重視している。ところが、大学の一、二年生対象の概論講義や高校の世界史授業では、基礎的だけれど、その内容については意外なほどに専門家の説明や専門的な解説書が触れていないような質問が多く出される。また、市民講座や一般教養セミナーでは、これまでのように定型化した内容だけではなく、現代のインド事情といったことがらにも関心が持たれている。インドを対象とした企業セミナーや職業人向けの講座では、アカデミックな机上の議論だけではなく、もう少し現実のインド世界がわの現場へ足を運び、そしてアジアの中のインドをより深く理解するための糸口として、本書を利用していただければありがたいことである。
はじめに 編者
目次
1 「インド」という国
2 インドの現代政治
3 インド経済の変化
4 インド社会の変化
5 インドの科学と技術
6 インドの宗教・大衆文化
7 インドの環境問題
8 インドの歴史社会