出版社内容情報
イスラーム色の強いフィリピン・ミンダナオ島で生きる女性たちの生活・習慣・考え方などを語ってもらい、その分析を通してフィリピンにおける開発とはなにか、イスラームとは何かを考える。
第1章 フィリピンのムスリム社会と女性
1―1 ミンダナオ島の社会経済的変化とムスリム女性
1―2 「語り」に表現される「女性性規範」の変化
1―3 現地調査──ムスリム女性へのインタビュー
1―4 フィリピンの「ムスリム研究」と「女性研究」
1―5 本書の構成
第2章 サランガニ地方
2―1 生活世界
2―2 サランガニ地方のムスリム──サンギル人を中心に
第3章 貨幣経済、資本主義経済への移行期の地域社会とムスリム女性
3―1 ムスリム社会の再編──サランガニ地方を中心に
3―2 移民入植にともなう貨幣経済と資本主義経済の浸透
3―3 イナの語り
3―4 紛争前の社会に成立していた女性性規範
第4章 武力紛争とムスリム女性
4―1 分離運動の展開
4―2 サランガニ地方への紛争の広がり
4―3 紛争の様ざまな局面における女性
第5章 商業漁業の発展とムスリム女性
5―1 サランガニ地方の漁業
5―2 商業漁業が小規模漁業に与える影響
5―3 ムスリム住民への影響
5―4 沿岸の集落におけるムスリム女性の役割
内容説明
本書は、一九七〇~八〇年代に内戦を経験し、避難民となり、資本主義経済が拡大していったなかで日常生活を再建してきたミンダナオ島のムスリム女性たちに焦点が当てられている。著者は、一三ヶ月間にわたって彼女たちと共に生活し、市場で野菜を売るなどして過ごした。その間に出会った女性の多くが、つらかった紛争の経験や日々の楽しさを語ってくれた。彼女たちの「語り」には、文献からは知りえなかった、女性自身の考え方や生活世界の変化が生き生きとつむぎだされていた。その「語り」を記述することを通じて、女性自身の視点や、彼女たちの眼差しに映るミンダナオ島の過去五〇年間の社会経済的変化に光を当てる。
目次
第1章 フィリピンのムスリム社会と女性
第2章 サランガニ地方
第3章 貨幣経済、資本主義経済への移行期の地域社会とムスリム女性
第4章 武力紛争とムスリム女性
第5章 商業漁業の発展とムスリム女性
第6章 行動範囲の広がりとムスリム女性
第7章 「語り」にみるムスリム女性の社会的変容
著者等紹介
石井正子[イシイマサコ]
1968年生まれ。上智大学外国語学部卒業。国際関係論修士(サセックス大学)。国際関係論博士(上智大学)。フィリピン共和国アテネオ・デ・マニラ大学客員研究員、国立民族学博物館研究員を経て2000年4月から日本学術振興会特別研究員。フィリピン研究、社会学専攻
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