出版社内容情報
日中文化の基層に横たわる雷神・龍神思想と信仰を豊富な図版,神話,甲骨文字,古伝承・民俗信仰から読み解き,雷・龍の呪術から王権の象徴への変遷,神の起源を解き明かす。
第一章 日・中両民族の雷神思想の源流
第二章 雷神の至上と神聖―日・中神話史と宗教史の黎明
第三章 雷神と雷斧
第四章 禊ぎと祓いの深層
第五章 雷神の発生学―「回」・「s」・「瓠」の神話学と宗教学の考察
第六章 し尤(ゆう)とスサノオの雷・蛇の性質
第七章 雷神信仰と女・羽衣の神話伝説
第八章 雷神信仰から龍神信仰へ
内容説明
本書では、まず甲骨文字、金石銘文にさかのぼって雷の原像を追究し、雷神の起源は神すなわち宗教の起源と同時的であることを明らかにしている。考古学上の発掘品にみられる紋様、図柄などから雷・龍像の変遷をたどり、『山海経』『淮南子』『捜神記』『楚辞』あるいは『易経』『礼記』『論衡』『文選』などの古文献を博捜して雷神の神話的性格を鮮明にし、または現存する少数民族の口承神話と雷神祭祀民俗を調査して、総合的に、古代から現代に至る中国の雷神と龍神の多様な信仰の実態を明らかにした。そのうえで、そこにかかわる日本の雷神信仰に論及。文献としてまず記紀、風土記を引き、日本各地から出土した考古学資料をもちいて中国の雷神信仰との関係を論究する。さらには祭祀や民俗芸能を援用して、日本における雷と龍の信仰を究明し、中国からの影響、文化の交流にまでふれている。日本独自に展開しているすがたも指摘されている。
目次
第1章 日・中両民族の雷神思想の源流
第2章 雷神の至上と神聖―日・中神話史と宗教史の黎明
第3章 雷神と雷斧
第4章 禊ぎと祓いの深層
第5章 雷神の発生学―「回」・「s」・「瓠」の神話学と宗教学の考察
第6章 蚩尤とスサノオの雷・蛇の性質―日・中比較神話の視点から
第7章 雷神信仰と女〓・羽衣の神話伝説
第8章 雷神信仰から龍神信仰へ―龍信仰の源を探る
著者等紹介
李均洋[リキンヨウ][LiJunYang]
1954年生まれ。首都師範大学外国語学院日本語学科教授。愛知学院大学博士。日本文学、中・日比較文学、中・日比較言語専攻。主な著書に「日本文学概説」、編著に「国際交流における日本学研究」ほか論文多数。中国外国文学学会東方学分会第1回学術評賞著作一等賞(’94年)、北京市第5回哲学社会科学優秀成果二等賞(’98年)を受賞
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