出版社内容情報
被差別部落・在日朝鮮人の生徒たちにかかわるなかからみえてきた「教育において生徒を救う」視点で,著者28年間の教師としての軌跡を綴る。解放教育の「初心」に立ち返り,教育の荒れを克服する途を探る。
1 生徒の〈復権と自立〉への道
2 授業「政治経済」に託したもの
3 ゼミ「部落問題」で追究したこと
4 学校,いのちの工房
内容説明
被差別裡の生徒たちの“復権と自立”を促しつつ、取り囲む者らの“変革”を誘い、ともに人間の尊厳に生きることを追求してきたのが解放教育(同和教育)である。課題は、ときに就学条件の整備・保障であり、就職差別撤廃であったが、より根源的には、教育において生徒を救うということであっただろう。その意味で“学校はいのちの工房”でなければならない。しかし日本の昨今の教育現実は、「学級崩壊」さらには「学校崩壊」などと騒がれる状況を生み出している。いじめや、それによる自殺者もあとを絶たない。いまこそ解放教育の“初心”に立ち返るべきときであると言わざるをえない。本書は、教育において生徒を救うとは、どういうことかを解放教育の視点から、授業者として、あるいはクラス担任、学年主任として模索した実践記録である。
目次
1 生徒の“復権と自立”への道(かけがえなき生活史を彫って;無念さによじられて)
2 授業「政治経済」に託したもの(学び、生きる。あらためて、いま;価値観の相克;「人間のしるし」をわが魂に刻む ほか)
3 ゼミ「部落問題」で追究したこと(凌駕する豊かさを;ゼミの再生と人間らしさの覚醒を願って;一条の光 ほか)
4 学校、いのちの工房(差別に立ち向かう勇気;学校、いのちの工房)
著者等紹介
吉岡光政[ヨシオカミツマサ]
1939年京都府丹後に生まれる。1962年京都学芸大学(現京都教育大学)第一社会科学科卒業。1964年立命館大学大学院経済学研究科中退。1971年兵庫県立尼崎工業高校教諭。1979年兵庫県立尼崎北高校に強制配転。1999年退職。著書に『さまよえる魂たち』(小説)(新風社、1999年)『学校に魂を入れる』(共編著)(国土社、1985年)など
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