出版社内容情報
2025年5月に成立した「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」は、担保権の対抗関係について、対抗要件の前後を原則としつつも、競合類型ごとに特例を設ける優劣規範を採用した。この新たな規範は、ある種のグローバル・スタンダード論の潮流の原点である米国UCC第9編と問題意識を共有している。しかし、独自色が強い制度設計を採っており違いも大きい。立法政策の違いは、どこから生じているのか。本書は、わが国の集合動産譲渡担保に相応する米国の棚卸資産担保金融に関する規律の歴史を遡り、米法の規律の基礎にある「秘匿による詐欺の法理」を探求する。この法理の直接間接の影響を踏まえる必然性の違いが、日米の立法政策の違いに与えた影響を明らかにする。
【目次】
序論
第1章 動産モーゲージ法
第2章 ファクターズ・リーエン法――NY州PPL§45
第3章 UTRA
第4章 UCC第9編――起草過程と現行法への影響
第5章 米法の史的展開からみる譲渡担保契約法
結論