出版社内容情報
ラテンアメリカ主要国の一つであるメキシコでは、かつてマヤ文明やアステカ帝国が栄え、その後300年のスペインの植民地時代があり、独立戦争、メキシコ革命を経ている。その痕跡が今なお公共空間や駅、モニュメントに見て取れる。それらは非言語媒体として、見る者にメッセージを発する。メキシコの地域研究を専門とする著者が、「メディア」を軸にし、メキシコという地域を分析。メキシコにおけるメディア産業の展開、メディアとしての機能を持つ公共空間、日本のメディアに映し出されたメキシコの実像と虚像を論じ、メディアの特質を論じる。メッセージはなんのために発信され、どのように届くのか。
【目次】
序 論 メディア研究の射程
第Ⅰ部 マスメディアの誕生と発展
第1章 メキシコの日刊紙の誕生と国民議会への道のり
第2章 メキシコのテレビ産業の構造とその創業者たち
第3章 メキシコのメディア産業の改革と再編――2000年代以降の地上波テレビ
第Ⅱ部 記憶の場――メディアとしての公共空間
第4章 災害の記憶化と地震後の跡地空間のゆくえ
――1985年のメキシコ大地震とメキシコシティの市民社会
第5章 メキシコシティの地下鉄駅のデザインと「国民化」
第6章 記憶の場としての公共空間
――地下鉄の壁画の作家たちと壁画運動の関連性を中心に
第Ⅲ部 メディアと表象
第7章 19世紀東京朝日新聞にみる「メキシコ」――1888-1900
第8章 19世紀読売新聞にみる「メキシコ」――1874-1900
第9章 ヤキ族の虚像と実像――日本の新聞報道(1872 ~)の分析
第10章 ヤキ族の虚像とその系譜――日本の論壇における「カスタネダ問題」とその影響