出版社内容情報
演劇に表現される戦争へのまなざし、問いかける言葉たち――。第二次世界大戦の終結から80年、いまだ私たちは戦争が脳裏をかすめる時代に生きている。「戦争という現実を前に、芸術は何ができるのか」。この普遍的な問いに答える糸口を見出すべく、11人の研究者、ジャーナリストらが日本演劇における戦争表象のありようを捉え直す。早稲田大学演劇博物館2025年度春季企画展「演劇は戦争体験を語り得るのか――戦後80年の演劇から」(会期:2025年5月12日―8月3日)に合わせて刊行!
内容説明
演劇に表現される戦争へのまなざし、問いかける言葉たち―。第二次世界大戦の終結から80年、いまだ私たちは戦争が脳裏をかすめる時代に生きている。「戦争という現実を前に、芸術は何ができるのか」。この普遍的な問いに答える糸口を見出すべく、11人の研究者、ジャーナリストらが日本演劇における戦争表象のありようを捉え直す。
目次
序―演劇のなかの戦争、アーカイヴのなかの演劇(近藤つぐみ)
第1部 戦争当事者世代の劇作家たち(三好十郎と〈戦争〉―なぜ三好戯曲は上演され続けるのか(後藤隆基)
菊田一夫の『ひめゆりの塔』―宝塚と菊田の戦争協力と「贖罪」(松本俊樹)
福田善之の戦後派焼跡演劇と焼跡音楽劇(高橋宏幸))
第2部 焼け跡世代の劇作家たち(別役実と原爆/戦争/天皇(岡室美奈子)
戦争は知らない―焼け跡世代の劇作家が描く戦争(矢内有紗)
原爆を扱った井上ひさし作品における「言葉」と「再生」―『父と暮らせば』『少年口伝隊一九四五』を題材に(稲山玲))
第3部 2000年代以降の演劇と戦争(フィクションの力を借りて加害者の顔に光をあて、本当の始まりを探す(徳永京子)
日本の現代演劇における想起/忘却のポリティクス―あるいは戦争の記憶とツアー・パフォーマンスをめぐる一試論(関根遼)
軽さと重さの反転―書かれた物語として『ライカムで待っとく』(近藤つぐみ))
第4部 日本の演劇界と戦争の距離(劇作家は戦争とどう向き合ったか―戦後演劇から野田秀樹へ(内田洋一)
鑑賞行為の猥褻さを超えて―現代演劇における戦争の表象と距離(關智子))
結びにかえて―「戦争体験」から「戦争演劇」まで(児玉竜一)