出版社内容情報
大正時代に起きた新教育運動以降、国語教育において学習者が主体的に学ぶ教育思想、教育実践は繰り返し強調されてきた。しかし、そのような立場は、一般化されたものにはならなかった。本書は、単元学習の実践者として広く知られる大村はま(1906~2005)の実践を研究の対象とし、その課題の克服に向けた知見を得ることが目的である。大村国語教室における個別の単元の成立の背景には、大村の教材研究やそれに基づく手引きなど、大村個人の力量によるものと共に、もう一つの要因がある。それは、大村の指導によって教室に蓄積されてきた学習者の学習経験である。本書では、大村国語教室における学習経験の蓄積の復元・考察を通して、今日の国語教室と共通する、主体的な言語活動を成立させる要素や単元相互の関連、および個々の単元が果たす役割について考察する。
内容説明
学習者中心の教育実践に新たな視点を見出す。単元が相互に関連づけられ、継続してこその単元学習。大村はまの単元学習の全体像を復元し、学習経験の蓄積過程の構造と、個々の単元が果たす役割を導き出す。
目次
本研究の目的と方法
第1部 横軸からの検討(入門単元における題材の変化;読書会単元における話し合いの指導の変化;意見文単元における共有の変化)
第2部 縦軸からの検討(第1学年の展開―単元「小さな研究」;第2学年の展開―単元「クラスの歌を作る」・「一年生からの手紙」;第3学年の展開―単元「外国の人は日本(日本人)をこのように見ている」
個々の単元の役割―単元「課題図書について考える」)
本研究の成果と課題
著者等紹介
甲斐伊織[カイイオリ]
東京都生まれ。2017年早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。現在、学習院中等科教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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