出版社内容情報
2008年10月に刊行し大好評を得た同名単行本が、満を持して文庫化! マックス・ウェーバーの近代合理化理論の現代版として展開される脱人間化社会の理論「マクドナルド化」。その骨子は、「効率性」「計算可能性」「予測可能性」「制御」の4つの次元にあったが、本書では原書が刊行された2004年当時の時代的要請に応え、「合理性のもたらす非合理性」という新たな次元についても検討が加えられている(7章)。さらには、グローバル化(globalization)が進行するなか、世界の均質化が進むいっぽうで新たな地域性も生まれるという一見矛盾する状況に対し、リッツアは「グローカル化(glocalization)←→グロースバル化(grobalization[リッツアによるgrowthからの造語])」と「存在(something)←→無(nothing)」という2つの座標軸を用いながらユニークな分析を加えたうえで、脱人間化社会に対する抵抗を試みる――真に人間らしい社会を希求する人びとにとって必読の書。
内容説明
この本は、基本的に社会批判の書物である。マクドナルド社には、その拡張を促進した多数の利点があり、その利点がこの本の随所で指摘される。それでも、マクドナルド社とそのクローンは、その利点を人びとに知らしめるための絶好の機会をもち、またそのために巨額な資金を投入している。この本は、マクドナルド化が生みだした問題、またこれがもたらしている危険に焦点を合わせることによって、どちらかと言えばバランスを欠いている世論に一石を投じるつもりである。
目次
1章 マクドナルド化の手ほどき
2章 マクドナルド化とその先駆者たち―鉄の檻からファストフード工場へ
3章 効率性―ドライブスルーとフィンガーフード
4章 計算可能性―ビッグマックと小さなフレンチフライ
5章 予測可能性―丘の小さな家に雨は降らない
6章 制御―人間と産業ロボット
7章 合理性の非合理性―「楽しげに行列している」者たちの交通渋滞
8章 グローバル化とマクドナルド化
9章 世界の変化とマクドナルド化―果たして限界はあるのか
10章 マクドナルド化と付き合う―役に立つ案内
著者等紹介
リッツア,ジョージ[リッツア,ジョージ] [Ritzer,George]
1940年、ニューヨーク生まれ。メリーランド大学名誉教授。ニューヨーク市立大学で心理学を学び、ミシガン大学で修士号を取得したのち、フォード自動車会社で労務管理を担当。その後、コーネル大学で博士号を取得し、いくつかの大学を経て1974年よりメリーランド大学教授に。1993年『マクドナルド化する社会』(正岡寛司監訳、早稲田大学出版部、邦訳は1999年)を出版し、一躍世界的に著名な社会学者の一人となる
正岡寛司[マサオカカンジ]
1935年、広島市生まれ。早稲田大学文学部教授を経て、2006年より同大学名誉教授。元日本家族社会学会会長。2024年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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