出版社内容情報
◆日本の文化はなぜ世界を魅了するのか。実体験にもとづく興味深いコラムも多数掲載!◆
カントリー・バイアスとは、外国に対する先入態度をいう。例えば、日本との外交問題をきっかけに中国や韓国で時折表面化する反日感情は、「消費者アニモシティ(敵対心)」というネガティブなカントリー・バイアスでとらえられる。反対に、海外の多くの人たちが日本に対してもつ「日本製品は安くて品質がいい」「日本の漫画やアニメ、ゲームは面白い」というイメージは、「消費者アフィニティ(好意、愛着、感嘆)」というポジティブなカントリー・バイアスでとらえられる。
従来、学界やメディアではネガティブなカントリー・バイアスが取り上げられることが多かった。しかし、本書はポジティブなカントリー・バイアスに注目する。ポジティブなそれを理解することこそが、外国人の日本製品・サービスに対する評価に好ましく作用し、長きにわたり日本のファンになってもらう契機になるからである。
日本がいかに世界の人々の〈こころ〉をつかみ、それによって自国の製品・サービスの海外進出を促進するのか。ひいては、日本という国家のイメージを底上げしていくのか。『多文化社会の消費者認知構造』で数々の学会賞を受賞した気鋭の研究者が、ビジネスパーソンにもわかりやすく書き下ろした一冊。
【推薦のことば】
多文化社会と呼ばれる今日、カントリー・バイアスという先入観で溢れている。本書には、そうした先入観を理解し、多文化社会を生き抜くための洞察が詰まっている。――恩藏直人(早稲田大学商学学術院教授)
目次
プロローグ カントリー・バイアスを通した消費者心理の理解
第1章 ポジティブなカントリー・バイアス
第2章 ネガティブなカントリー・バイアス
第3章 プレイス・リレーテッド・コンストラクト―場所に関連した概念
第4章 グローバルとローカルの相互作用
第5章 コスモポリタン的表象―コスモポリタンからみえる世界
第6章 どのようなコミュニケーションが有効になるのか
第7章 相反するカントリー・バイアスが意思決定に及ぼす影響
エピローグ 本書を通して伝えたいこと
著者等紹介
寺〓新一郎[テラサキシンイチロウ]
立命館大学経営学部准教授。早稲田大学商学部卒業後、渡英しロンドン大学でMA(Environment,Politics,&Globalisation)とMBA(International Management)を取得。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。九州大学大学院経済学研究院助教などを経て現職。専門は経営学/マーケティング。主著に『多文化社会の消費者認知構造―グローバル化とカントリー・バイアス』(早稲田大学出版部、2021年。日本マーケティング学会「日本マーケティング本大賞2021」準大賞、日本商業学会奨励賞、異文化経営学会賞(著書部門)を受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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