出版社内容情報
アメリカで19世紀末から20世紀にかけて起こった、教育改革運動である進歩主義教育において、その源流にいたブロンソン・オルコットの思想を読み解く。オルコットは、個人の尊重を説く超越主義を教育において実践し、のちに「進歩主義教育の父」といわれるようになるフランシス・パーカーや、アメリカを代表する教育思想家ジョン・デューイへ影響を与えたとみられる。アメリカ教育思想史において、超越主義がどのように影響したのか、その思想的水脈を浮き彫りにする。
内容説明
アメリカ教育思想史において、どのように超越主義が影響したのか。19世紀末から20世紀にかけて起こった教育改革運動、進歩主義教育と個人の尊重を説く超越主義との結びつきは深い。その思想的水脈をなぞるのに、ミッシング・リンクといえるのがオルコットだ。パーカーやデューイにも足跡を残した、知られざるオルコット像を説き明かす。
目次
序論 本書の研究目的と構成
第1部 オルコット超越主義思想に影響を与えた思想群(超越的世界の意味づけ;超越論的認識の背景;超越論的「知性」概念の拡充;オルコット超越主義的実践理論への影響関係)
第2部 超越主義から進歩主義教育に流れる思想的水脈(エリザベス・ピーボディの幼児教育思想―オルコット教育理論の受容と批判;プラグマティズムへの影響―ウィリアム・ジェイムズとの関係;ドイツ超越論的観念論からプラグマティズムへの中継点;プラグマティズムへの超越主義の影響の一断面―ミッシング・リンクとしてのオルコット人格主義;超越主義とプラグマティズムの「宗教」的通路―オルコットの人格主義に基づく「新しい教会」構想を手掛かりに;進歩主義教育への影響―パーカー、デューイへの影響)
結論 オルコット教育思想の再評価と超越主義の思想史的再定位
著者等紹介
山本孝司[ヤマモトタカシ]
1971年山口県生まれ(広島県育ち)。1994年早稲田大学教育学部教育学科教育学専修卒業。1997年早稲田大学大学院教育学研究科修士課程学校教育専攻修了。2003年早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程教育基礎学専攻単位取得満期退学。2018年博士(教育学)早稲田大学。現在、岡山県立大学保健福祉学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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