内容説明
暴力は中国史に何をもたらしたのか。人々が受け入れ、承認し、さらには規定する暴力―公認された暴力―、とりわけ戦争という巨大な暴力は、中国古代の政治・経済・思想・社会を定義する強制力としていかなる機能を有したのか。軍事史研究に「軍事文化」の視点をも盛り込み、暴力により変容する社会と人間の様相を明らかにする。
目次
序論
第1部 暴力へのまなざし(中国古代史における暴力;中国古代の正戦論と『史記』の戦争叙述:暴力正当化の基準をめぐって;両漢の田猟賦と軍礼:暴力の儀礼化に関する一断章;南北朝時代における仏教と軍事:僧伝の検討)
第2部 戦時と平時のはざま(新発見の簡牘から見た秦~前漢初期の傅籍制度の沿革;征服軍の撤退:里耶秦簡よりみた占領統治の展開;戦時体制から日常行政体制へ;秦漢時代の県の治安担当官吏について;唐代節度使の出現原因:対外戦争の様相変化を手がかりに)
第3部 戦争の磁力(戦争と王権:『商君書』にみる「強国」「天下」と軍功爵制;戦争と貨幣:秦の占領統治と半両銭の流通;軍事と刑罰:秦漢時代における軍事の地位低下についての試論)