内容説明
魚と人のかかわりのなかで、われわれ地球の文明はどのような歩みをたどり、どこへ向かおうとしているのか。古代ヨーロッパから、メソポタミア・アジア・オセアニア、近世・現代の日本まで。身近な食物資源であると同時に、博物学・芸術・信仰の対象としても扱われてきた魚の多面的な歴史を、豊富な図版・写真を用いて解説。自然・人文諸科学の総合的な見地から、魚・人・カミのかかわりを軸とした新たな文明像を提唱する。
目次
序章 魚と人を語る―文明論の視点
第1章 自然と象徴―魚類分類の多様性
第2章 うま味と料理―魚食の文明論
第3章 魚食のタブー論―大宗教から菜食主義まで
第4章 有毒魚と有用魚―非食用の博物誌
第5章 魚の王と王の魚―巨大魚と権威
第6章 半魚人の世界―魚と神話
第7章 魚と世界観―霊魂と身体
終章 魚と人の文明論―統合知の地平
著者等紹介
秋道智彌[アキミチトモヤ]
1946年京都市生。総合地球環境学研究所名誉教授、山梨県立富士山世界遺産センター所長。生態人類学。理学博士。京都大学理学部動物学科卒、東京大学大学院理学系研究科人類学修士課程修了、同博士課程単位修得。国立民族学博物館民族文化研究部長、総合研究大学院大学先導科学研究科客員教授、総合地球環境学研究所教授、同副所長などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
9
序章になにやらややこしそうな文明論があって心配になるが、それに続くのは物知り魚博士が思いつくままに語った話という感じ。バラバラのウィキペディアの記事を一ヵ所ににまとめてもらえたありがたみ、というのがこの書籍の意義であろう。「個から全体を見る」とか「統合知」が目ざされているらしく、分野横断的に話がつながっていくが、それゆえに個々の記述が中途半端に終わって、もっと知りたいと思うところでもう別の話に切り替わってる恨みもある。魚の禁忌論がずばり自分の問いに応えてくれると期待していたが、そんな怠惰は許されなかった。2022/07/01