目次
怪(モノ化するコト―怪異と妖怪を巡る妄想;怪異と穢との間―寛喜二年石清水八幡宮落骨事件 ほか)
怨(川原寺と怨霊―伊予親王の霊をめぐって;刑部僧正長厳の怨霊)
祀(平安宮の鬼と宮廷祭祀;賀茂別宮と徳大寺家―家と怪異 ほか)
象(熊野曼荼羅に顕れた雷電神;「異形賀茂祭図巻」と「百鬼夜行絵巻」 ほか)
性(生首をいとおしむ女―偏愛奇談の時代;林羅山と怪異)
顕(物言う墓;関帝廟という装置―関聖帝君の顕聖との関わりを中心に ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
16
恠異学会の成り立ちを振り返る言葉に続いて、京極夏彦が妖怪と怪異を、コトとモノに腑分けしていく。 ミステリ作家らしく整然とした言葉だが、本文に織り込めそうな脚注のあり方とともに、スタイルを意識しすぎなような気がする。 本題とは別のおかしみをかんじる。 烏が運び込んだ小骨にまつわるゴタゴタした対応の記事あり。五体不具の穢って考えがあるらしい。 その昔の宮廷の人は、自然現象でいちいち占い立てたりたいへんそうなんだけど、権力基盤が固まってからだろうか。 死であれなんであれ、自然なことにしか思えないんだけど。 2023/06/11
アル
0
歴史の文脈で記録に残る「怪異」についての論文集。あとがきにある「本当に「石が鳴った」かどうかは問題ではなく、なぜ「石が鳴った」と史料上に記録されているのかを論じる」という一文が、本書の基調を示しているように思う。 どの論文も興味深いが、強いて挙げれば『怪異と穢の間』『平安宮の鬼と宮廷祭祀』『林羅山と怪異』あたりが特に印象に残った。 日本の怪異だけでなく、中国・朝鮮や西欧の怪異に関する論文も含まれている点も良い。2015/02/11
たっきー
0
文化人類学、歴史学系統の方が多く執筆してます。京極夏彦の「モノ化するコト」は、妖怪研究を志す者は読んでおかなければならない指摘だと思います。小松和彦編『妖怪学大全』と合わせて読むとアプローチの違いが見えて興味深いです。『妖怪学大全』は文化人類学、近世文学系統の方が多く執筆しています。2017/07/17