内容説明
ずっとおぼえていたい、きみのこと…ぜんぜんちがうふたりがであった、しかくいまちは、いまもそこにある。戸森しるこ+吉田尚令、はじめての絵本。
著者等紹介
戸森しるこ[トモリシルコ]
『ぼくたちのリアル』で講談社児童文学新人賞を受賞し、2016年にデビュー。同作で児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。『ゆかいな床井くん』で2019年野間児童文芸賞受賞
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
絵本『希望の牧場』(森絵都作)でJBBY賞受賞(IBBYオナーリスト・イラストレーション部門選出)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
82
「ぼくはしかくいまちにいってきた」そこには四角でできたかくさんと、町には四角いものに溢れてる。口がないので、言葉もないし気持ちもない。みんなは絵で伝え合います。とても静かでとても平和です。その子は川に流されているところをかくさんに助けてもらいました。一緒に過ごすうちにいつしか気持ちが通じてきた。レイは大人になって医者になった。子どもの病気を見る医者です。子どもたちが目覚めると時々言うことがあります「しかくいまちにいってきた」と。穏やかで不思議な温かいストーリー。四角い町は何かのメタファー。懐かしい紙の色。2020/12/25
☆よいこ
78
大人絵本。913か絵本か微妙サイズ。9類かな。四角い町に住む、四角い人物「かくさん」は川に流れてきた少年を拾った。穏やかで静かでとても平和な町で、かくさんと「その子」は仲良く暮らしはじめる。言葉は通じなくても一緒に釣りをし、トランプで遊び、温かいスープを飲むと「かくさん」は幸せな気持ちになった。だけど「その子」は自分がどこから来てどこへ行こうとしたのか悩む。そしてとうとう自分の名前を思い出し、去って行く。▽必要な場所2021/01/10
がらくたどん
76
ご紹介頂いた絵本。口のない「しかくい」人々が暮らす街。激しい喜怒哀楽の気持ちがない彼らなので心は穏やか。波立つことはない。そんな不思議な場所に流れ着いた子どもをお世話するうちに住人の「かくさん」にささやかな変化が。それを見た、しかくい街に安らいでいたはずの子どもにも遠くから自分を呼ぶ声が・・。最後のページ、子どもは「長い間眠ったままでいる」ような子供を看る医者になったそうだ。現は辛い。苦しさや怒りだけでなく喜びや楽しさの思い出さえ。でも帰っておいで。あの街の記憶をお守りに。涅槃寂静という言葉を思い出した。2023/08/27
はる
65
静かで優しい、大人向けの絵本。しかくいひとたちばかりの、しかくいまち。感情を持たない彼らの日々は平和で穏やか。だがそんなある日、川から人間の男の子が流れてくる…。身体も価値観も全く異なる存在に出会った時、あなたは彼らを受け入れることが出来るだろうか?戸森さんは「普通って何だろう」というテーマの作品が多いですね。男の子と関わることによって、少しだけ変化するしかくいひと。吉田尚令さんの優しい色使いがいい。2021/01/11
とよぽん
60
不思議な絵本だった。四角は何の象徴なのだろう? 言葉、コミュニケーション、感情など私たちの日常生活で当たり前のことを改めて見つめ直すことを示唆しているのか? 異世界かもしれないが、ゾワゾワする感じはなく穏やかな、不思議な夢?だった。哲学的といえばいいのか・・・。2022/05/15
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