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著者等紹介
チャペック,カレル[チャペック,カレル] [〓apek,Karel]
1890年オーストリア=ハンガリー帝国領のボヘミア(現在のチェコ)に生まれる。プラハの大学で哲学を学び、文学、芸術への興味を深めた。1920年、劇『R.U.R.(ロボット)』で世界的名声を得る。ジャーナリストとしても縦横に筆をふるい、ファシズムに対して徹底的に戦った。『山椒魚戦争』『絶対製造工場』『マサリクとの対話』など主要作はすべて日本語に訳されている。1938年没
小野裕康[オノヒロヤス]
1954年生まれ。日本チャペック兄弟協会会員。会誌「チャペック通信」を編集。チャペックに関するシンポジウムのコーディネーターなども務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
この作品集はチェコの有名な作家によるショートショートです。私は「山椒魚戦争」や「園芸家の1年」を読んだことがあるのですがこのような作品があるとは知りませんでした。10のショートショートと3つのエッセイなのですが分けることができない感じです。老囚人の話や表題作が印象に残りました。ブラックな感じの作品もあります。2020/02/18
mocha
68
滑稽でアイロニーを感じさせる13編。「飛べた男」が一番印象に残った。チャペックといえばロボットという言葉を考案したというエピソードが浮かぶけれど、「機械が支配する」では、その件はもう勘弁してくれという本音が見えるようだ。2021/09/17
Y2K☮
41
著者初読み。短編の名手がここにも。特に表題作は発想の勝利。見慣れた場所でも立ち位置や着眼点を少し変えると全く異なる情景が広がってくる。「法律案件」は「世にも奇妙な物語」でドラマ化してはどうか。毎回五編放送している中の三つ目に最適。「飛べた男」も巧い。新人作家と編集者の関係を連想させられた。「時代の没落」は話の内容ではなく膨らませ方がジャック・ロンドンっぽいような。最後の話は様々な解釈が可能。たとえば当初の理想にこだわるか、現実と折り合いを付けて納得するかなど。ナチスに反発した気骨あるユーモアを確かに視た。2019/09/06
Y2K☮
35
再読。エッセイと短編小説。日頃つい声の大きな人に流されがちなテーマに「こういう見方もある」という一石を投じてくれる。「飛べた男」が描く善意及び無知の親切心がもたらす弊害はなかなかタイムリー。コーチング論として読むなら新人に教える役割は専任が望ましいし、凡人が己の尺度で下手にいじらぬ方が伸びる逸材もいると。「時代の没落」の反転性も素晴らしい。結局どっちもどっちというか、人は誰もが正しくて間違っている。それを自覚している人だけが悩んだ末によりベターな選択へ辿り着けるのだ。ぜひ小学校の図書館に置いて欲しい一冊。2021/05/28
空猫
28
【シリーズ10作目】『ロボット』で有名なチャぺック編。ブラックユーモアの短編集。前半は伏線の回収もないしパンチもなくという話が続いたけれど、後半からは楽しめた。全く権威ってやつぁ『飛べた男』。近代社会の生きづらさ『法律案件』。時代の流れの中、頑固者の悲哀は『時代の没落』。善行にも影があるという皮肉。主題を宗教にかけていいのかしらん『五つのパン』。などがお気に入り。このシリーズはまだまだ続きそうですな。 2020/02/04