出版社内容情報
「小生は人に手紙をかく事と人から手紙をもらう事が大すきである。」と手紙に書いた漱石。夏目漱石が書き送った手紙は残っているだけでも2500通以上にのぼるそうです。小説以上に人間性が伝わる「手紙」をひもとき、生身の漱石にせまります。既6巻
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
33
手紙を通じて漱石の生涯を辿るという体裁だが、手紙だけでなく、日記、作品などからも多彩な文章が引用され(しかも、その選択のセンスが抜群にいい)、漱石の人生と思想が見事に浮き彫りになっている。家族・友人・門下生に対する愛情、「拙を守る」固い信念、個人の自由と尊厳を守る強い正義感、それらすべてを踏まえた漱石の孤高とさみしさなど、この文豪の本質に触れることができる。共同通信社の記者だったという著者の解説も示唆に富んで素晴らしく、漱石を知らない人にも、漱石を知り尽くしている人にも、ともにお薦めの一冊です。2019/08/23
chacha
10
漱石は生涯にたくさんの手紙を書いていたのですね。それが残っているのもすごいこと。交流の巾の広さもすごい。2019/09/22
うの
4
おもしろかった。旧語独特の言い回しに注釈を入れてくれているので直接書簡集を読むよりも読みやすい。正岡子規との友情がたいへんあたたかい。2023/12/27
yokkin
4
漱石さんの生徒への暖かい心や、偏屈なところ、そして漱石さんの病気で苦労している家族の様子が伝わりました。2020/08/07
natukoba
3
漱石は手紙魔だ。弟子に宛てた手紙は長く、頻繁で、心暖かい。しかし家庭での漱石は癇癪もちでかなり扱い不能な人間と家族には描かれている。家族への甘えなのでしょうか。一番の被害を受けたのは奥様の鏡子さん。悪妻の評。子供たちはこの母でなくては漱石に対抗することはできなかったと。 素晴らしい小説家のアンバランス。噛めば噛むほど好きになる漱石先生。2020/03/04