出版社内容情報
プラハに移り住んだ絵本作家がチェコでの日々を綴るエッセイ集。歴史の魅力が生活の中に息づくチェコで、復活祭、謝肉祭、クリスマスから、キリスト教以前の素朴で古い風習まで、季節を彩るフォークロアを中心に活写します。
内容説明
歴史の息づく街プラハ。画家が綴る人々の暮らし。ブラチスラヴァ世界絵本原画展グランプリ受賞作家、待望のエッセイ集。描き下ろしイラスト多数収録。
目次
春の風景
火と水と風と土と
ヴェリコノッツェ(復活祭)
ぱにぽうとの魔女
銀河鉄道のネトリツェ
「ト イェ シュコダ(ああ、残念)」
本当のプルーン
秋の一日―プラハの魔法
チェルベナー・ジェパの魔法
プラハの秋―ビロード革命の記念日に〔ほか〕
著者等紹介
出久根育[デクネイク]
1969年東京生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。2002年よりチェコのプラハに在住。ボローニャ国際絵本原画展入選、『あめふらし』(グリム兄弟・著)でブラティスラヴァ世界絵本原画展グランプリ、『マーシャと白い鳥』(ミハイル・ブラートフ・再話)で日本絵本大賞、『もりのおとぶくろ』(わたりむつこ・作)で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、『命の水チェコの民話集』(カレル・ヤロミール・エルベン・編)チェコ語版でアルバトロス社賞、「Zajatci Str´ibrn´eho slunce」でSUK2015図書館賞など受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
135
絵本作家の出久根さんのチェコに移住してからの12ヶ月をエッセイ仕立てにしたもので楽しめます。現地の風習や季節感あふれる情景などが絵とともに語られています。私はこのような本を読むとすぐ現地に行きたくなってしまうのですが。安野光雅さんの本を思い出したりしました。2018/04/22
ちゃちゃ
79
チェコ在住の出久根さんによる「プラハお散歩だより」。四季折々の美しく厳しい自然とともに生を謳歌する人々の素晴らしさ。 謝肉祭や復活祭など、地域に伝承された風習や行事を丁寧に守り続けてゆく暮らしの豊かさ。ベルリンの壁崩壊後、長い社会主義時代に終わりを告げたチェコ。民族や政治的な対立を超えて、豊かな精神性や美が土着の文化として尊ばれ受け継がれてゆくことがいかに大切か。出久根さんの穏やかで温もりある言葉と絵は「おとぎの国」に生きる人々の姿を通して、私たちの命が自然と共にあることの温かさを再認識させてくれる。 2018/02/24
Kei
53
こんな所に日本人、というTV番組を観ると、本当に日本女性は、ありとあらゆる場で順応して生きているな、と感心します。著者もそのひとり。美しいおとぎのような国。しかし、プラハの春に象徴されるような政治的歴史的苦難の地でもあります。どの街に行っても、同じ幹線道路沿いに同じ看板のお店が並ぶ国からみると、なごむイラストと文章。ひととき、異国に迷い込めます。2018/03/22
野のこ
52
ほっこり温かくどこか懐かしさもある絵が挿絵になってて素敵でした。移りゆく季節の恵みに感謝し、昔から伝わる行事に大人から子供たちまで大切に受け継ぐ。一風変わった行いはまるでおとぎの国のワンシーンみたいでした。時には魔術にかかったような一夜も。またとても興味をそそったのは出久根さんが訪れた劇。お客は鉄道に乗り、席から見える白い馬(青年)にマグリットのようなドア、漆黒に闇から輝く天の川。現実に戻ったひとつのりんご。演出はとても幻想的でうっとりしました。2018/01/19
よこたん
44
“それぞれの文化がもつ風習や様式の中には必ず、豊かな人間味と精神性、美が込められているように思います。そういう多様性を失った世界は、きっと味気ないものになるだろうと思うのです。” チェコってどんなところだろう。浮かぶのは意味をわかっていない「プラハの春」という言葉くらい。本を通して覗いてみたのは、素朴ながら少し風変わりなものも含む年中行事を守りつつ心豊かに暮らす人々の様子。表紙はもちろん、ふんだんに盛り込まれた挿絵が楽しい。全部カラーだったらなぁ。「本当のプルーン」のコラーチュ(甘い焼き菓子)が食べたい。2018/04/21