内容説明
「みんな、かえってきてー!」という、あのこのこえが、きこえたとき、ぬいぐるみたちのこころに、「ぽっ!」と、あかりがともります。しずかな、しずかな、ゆうぐれどきの、ちいさなぼうけん!
著者等紹介
今村葦子[イマムラアシコ]
熊本県に生まれる。児童文学作家。『ふたつの家のちえ子』(評論社)で、野間児童文芸推奨作品賞、坪田譲治文学賞、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。同作品および『良夫とかな子』『あほうどり』(ともに評論社)で路傍の石幼少年文学賞、『かがりちゃん』(講談社)で野間児童文芸賞、『ぶな森のキッキ』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『まつぼっくり公園のふるいブランコ』(理論社)でひろすけ童話賞を受賞。絵本から長編まで作品多数
酒井駒子[サカイコマコ]
兵庫県に生まれる。絵本作家。『きつねのかみさま』(ポプラ社)で日本絵本賞、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)でブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)でフランスのPITCHOU賞、『ロンパーちゃんとふうせん』(白泉社)でイタリアのNati per Leggere Italia賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
188
幼い頃の忘れられない思い出が鮮明に蘇ってくる。今村葦子さんのちょっと不思議な物語に、酒井駒子さんのぎゅっと抱きしめたくなるような絵が添えられている。動物園に並べられたたくさんのぬいぐるみ。その中からゾウとキリンとライオンを選んで帰ったんだよね。ちょっとしたことから離ればなれになって、でも、離れようとすればするほど離れられなくなって。突然どこへ行ったのか分からなくなって涙を流して大声で泣いて、心のなかでそっと泣いて、いつもここに居てくれたことがどんなに幸せだったことか、お互いが気づいて愛が深まる素敵なお話。2024/03/12
アキ
84
2016年発行。今村葦子・作、酒井駒子・絵。すべてひらがなの物語。じょうさん、ちりんさん、らりろん、フパゲッティと、言葉遊びもこどもらしい。泣き虫のあのこに振り回されて、家出したゾウとキリンとライオンのぬいぐるみが、ネズミからあのこが泣いてることを聞き、窓から覗いて、最後にぬいぐるみがあのこの元に帰るお話。絵と文字が別々の頁にあり、パラパラと絵を捲るだけで物語を再現できるようになっています。ぬいぐるみではない屋根裏ネズミの帰る、さびしそうな後ろ姿で終わります。2021/06/09
よこたん
49
「ひ、ひっく! ああ、かえってきてよー! ぼくの、じょうさんと、ぼ、ぼくの、ちりんさんと、らりろん! かえってきてよー!」 坊やの余りの暴君ぶりに家出をしてきたという、ぞう・きりん・らいおんのぬいぐるみ達。耳でよだれや鼻水を拭かれたり、鼻に噛みつかれたり、首をつかんで投げられたり。いざ遠くへ行こうとしてみたものの、泣きじゃくる声に後ろ髪を引かれ、思い出すのはあの子と過ごした懐かしい日々のこと。なきむしこぞうは、だあれ? 坊や?仔象?それとも? 大切なものを失いかけて、初めて気付くこと、見えることがある。2017/11/12
♪みどりpiyopiyo♪
47
しずかな、なつの、ゆうがたでした。ちいさな、いえのげんかんの、きいろいドアが、そーっとひらいて、ドアのしたのところで、なにかが、こっそりと、そとをのぞいていました。■ぬいぐるみ達の揺れる気持ち。夕暮れ時の小さな冒険。あの子の泣き声。■きゅっと心掴まれるお話。就学前後の子にはあの子の気持ちが、思春期の子にはぬいぐるみ達の気持ちが、身近に感じられることでしょう。■酒井駒子さんの絵が ノスタルジックな心のさざなみを添えて。ほほえましくも、ちょっとせつないお話でした。(2016年)2017/09/06
anne@灯れ松明の火
45
今村さん追っかけ中。少し前の新刊チェックで見たなと思い、借りに行ってもらった。絵は酒井駒子さんなので、そちらのファンも気になる作品だろう。持ち主の男の子からの、ぞんざいな扱いを嫌がって家出する3体のぬいぐるみ。動物園の売店で買われた彼らは、故郷を目指そうとするが……。なくなって初めてわかる大切さ、いろんな愛情表現もある……、心に響く、いい作品。ぬいぐるみたち、こんなことを考えているかも?と思うと、より愛しくなるなぁ。やねうらねずみ、いい仕事をしたね!2016/08/23