内容説明
よりさんは虫が苦手です。都会から飛行機で二時間、車で一時間の田舎に四人の息子を連れて越してきて、いやおうなく虫の世界に引き込まれます。オケラ、コウガイビル、電気虫、イライラ、やけど虫、オオマリコケムシ、圧倒的な虫の数々…。怪しく幽きファンタジー。虫たちはいのちを繋いでいく。
著者等紹介
おのりえん[オノリエン]
小野里宴。1959年東京に生まれる。作家。児童文学作家としての作品も多いが、『メメント・モーリ』(理論社)などの長編ファンタジー作品もある
秋山あゆ子[アキヤマアユコ]
1964年東京に生まれる。漫画家として『虫けら様』『こんちゅう稼業』(青林工藝舎)などのファンタジックな虫の世界を描くかたわら、絵本作家としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mntmt
15
どんなに小さな虫ケラにだって尊い命。毛虫嫌いも治りそうな予感がして来た。2015/11/30
バニラ風味
11
まず、昆虫の絵の完成度が素晴らしい。反対に言えば、昆虫嫌いの人は、表紙だけで「もう無理」だろう。主人公は、ふつうの子持ち主婦・よりこさん。引っ越し先の家で出会った生き物との交流を描いた、現実と空想が入り混じった不思議な物語。春の夜に、ジージーと鳴く虫の正体や、ナメクジを捕食するナメクジキングの様な生き物、長崎アゲハの成長記録など、びっくりしたり感心したり。 科学、生物に興味のある方には、前作「虫のいどころ、人のいどころ」から読むのが、おすすめ。 2014/07/26
織町
9
“みなもの声にならない声も置いて、ライオンは、自分の進む道を、のしのし進んで行きました。前を見据えて、まっすぐに、みなもを追い越していきました”みなもとナミアゲハのライオン、黒アゲハのダコタとデネ(あさひ)の物語が心に温かく残る。小さなものとは同じ時間を生きていながらも、生きる速度はまるで違う。まるごとの命を見送った子供たち二人はどこか一回り大きくなったよう。虫として気になるのはオケラ。な、なんだ、なんて可愛いんだ。コウガイビルとオオマリコケシは少し怖い…秋山さんの絵にはやはり感服しました…2015/06/04
りこ
9
ちょっと異色なファンタジー。都会から田舎へ家族揃って引っ越して来た主人公の、よりこさんが苦手な虫に導かれ色んな不思議と出逢う。2015/04/12
遠い日
8
よりさんと虫たちのシリーズ、2巻目。よりさんと4人の息子たちが出会う虫たちが織りなす不思議なファンタジー。虫には虫の誇るべき命があり、人にはそれを左右する力は、本当はない。季節を追って、現れる虫たちの奇妙な姿と成長、真摯としかいえないその生態。あるがままが美しく、垣間見える不思議に目を見開かされる。清々しい命の物語。2015/02/04