出版社内容情報
かつて、自分の描いた絵を見てほしいと言って、ぼくを訪ねてきた若者がいた。やがて彼は北海道で漁師になる。画家の志と、現実の暮らしの間に生じる青年の深い悩みを、ぼくは想像する。
内容説明
明治~大正時代の作家・有島武郎が、実際の経験をもとに書き上げた2作品を収録。芸術と生活のあいだで苦悩する青年を描く表題作の他、妻を亡くした体験から生まれた「小さき者へ」。
著者等紹介
高木敏光[タカギトシミツ]
1965年北海道生まれ。早稲田大学文学部卒業。作家修行を経て、現在はクリエイター。家庭用ゲーム機や携帯電話等のゲームを数多く手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆき
9
現代語訳にされているので読みやすかったけど、味わい深い有島さんのままの分も読んでみたい。生まれ出づる悩みは物凄く想像豊かで驚いた。美しい空想の世界。2015/10/20
稲田紹
5
良かったです。古典文学が現代語で復活。2022/11/19
Accoco
2
この手の小説を読むと、お茶目なゲイジュツ家たるあのおじさんを思い出してしまうのよねw貧しく生きることにのみに命を削らなければならない絵描き。芸術を求めるその炎は、自らの身をも焦がしつくしてしまうという青年の像を、金持ちの芸術家の妄想でつくりあげたという設定の小説。冷静に考えるとなんじゃそりゃ!(この貧しい絵描きのモデルは実在したそう)でも荒くれだった冬、海の描写は美しい。有島さんさすがだわ。が、これは現代語約!こうやってお手軽に読めるものにも抵抗がなくなった私である。このシリーズ他にもあるから読もっと。2013/05/09
iiacco
2
去年の暮、乃木神社へ参拝したのをきっかけに、日露戦争→高橋是清→デフレと関心を高めていた。そんな矢先に予約していたこの本が届いたので、時代背景を少なからず感じながら読むことが出来ました。古典文学には現代小説にあるエンターテインメント性を求める事は出来ないけど、その小説が書かれた時代の経済状況や背景を思い浮かべながら読むことで、現在の自分が置かれている立場や状況を再認識するきっかけが出来て、より深みが増すと思います。2013/02/22
そーすけ
1
261*現代語訳する必要あるかな、と思ったけど、手紙の部分が読みにくいし、まぁこれも一つの取り組みとしては良いかな。2018/10/19