出版社内容情報
悲しみの果てから希望の海へ…。沖縄のこころをとおして生きることの尊さと人と人とのやさしさとはなにかを問う新しい国民文学。 小学校高学年~中学生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瑪瑙(サードニックス)
41
ずいぶん昔にNHKのドラマで見た覚えがあり手に取りました。当時の沖縄はこんなにも差別されていたのか?と驚きました。ふうちゃんのご両親のお店[てだのふぁ・おきなわ亭]は温かくて素敵なお店です。そこに集う沖縄出身の人々は陽気で優しい人たちですが、戦争の悲惨さ残酷さと差別を知った上でのことでした。12歳の少女ふうちゃんが父親の病気が良くなる事を願いながら、悲しみを抱えながら生きている沖縄の人々の幸せを願いながら、沖縄の事を知ろうと努力する姿が健気です。2021/07/19
ユウキ
16
若い時と思う反面今読んで良かったと思う。あなたが悲しいと私も悲しい。経験が浅ければ口先だけ、又は言葉だけの想像になるだろうことを、半世紀も生きていれば、素晴らしく心踊ることも息が出来ないほどの苦しさも経験しました。経験はしても、その時々の感情の起伏と正面から向き合えなかった人(俺)こそ読んで良かったと感じる作品と思う。生命感溢れ快活聡明な人々のテンポ。そのなかで幸せの本質を改めて思います。「生きている人だけの世の中じゃないよ。生きている人の中に死んだ人も一緒に生きてるから人間は…」白い彼岸花が見えました。2021/11/04
ミミネコ
11
私は小学生時代、中学生時代資料映像や映画を見るのが怖かった。夜眠れず、ヘリの音が聞こえると爆弾が落ちてくるんじゃないかと不安になった。それ以降避けて通っていた戦争と言う、知らなくてはいけない過去に、小6のふうちゃんはしっかりと向き合った。大好きなお父さんの病気を治したいと、原因は戦中の沖縄での体験ではないかと、精一杯考え行動した。お父さんの事は悲しい結果になってしまったけど、ずっと優しいふうちゃんのまま、素敵な大人になってくれてるといいな。もっと戦争の事を知らなくてはいけないと思った。2020/08/11
ゆすん
3
9年ぶりの再読。初めてこの本を手に取った時には到底理解できなかった沖縄の暗く深い歴史が、胸に重くのしかかってくる。沖縄の人たちが持っているのは優しい心だけじゃない。むしろそれ以上に、怒る心がある。この怒る心が今、辺野古で、高江で、爆発しているのだ。ヤマトンチューやアメリカーに向かって。2017/02/11
noekure
2
歴史を大局観をもって理解することとそこに暮らした人々を識ることとは両立する筈。沖縄の人だからではなく、虐げられても明るく振舞っている方達も在る筈。少し見識に偏りを感じないこともないのが正直な感想。2017/03/23