出版社内容情報
現実と幻想の境界を静かに揺れる少女の時間。「デューク」「草の丞の話」など怪しくも美しい童話。江國香織の処女作品集。 小学校高学年~中学生
内容説明
9つの短編は、現実と幻想の境界を美しく描く童話的世界。「デューク」「桃子」「草之丞の話」などを収録する江国香織初めての作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
57
初読みの作家さん。恋愛小説の名手と聞いていたので今まで手を出しませんでしたが、こちらは児童書なので読みやすかったです。9つの短編ですが、「デューク」が一番好きです。あとお祖父ちゃんと孫娘の交流を描いた「スィート・ラバーズ」も良かったです。2015/01/03
野のこ
42
静かに、そっと、ふうわり、あたたかく…。ちょっと不思議な、そしてきらっと光る小さな物語たちに、つめたい夜も忘れそう。晴れたま昼の匂い、白いポロシャツ。「夏の少し前」に洋子の半生がふわぁっとあふれて夢ごこち。あと「草々丞の話」の幽霊のお侍さんにクリスマスの赤いセーターにワルツ。私もうふふ。「僕はジャング〜」サイン帖!懐かしい!小学校卒業にあこがれのクラスの男子に描いてもらったのを、今でも実家の私の部屋の引き出しの中にある のを思い出した。なぜかお猿のイラストにうきーって書いてある。2017/12/14
リッツ
32
読友さんオススメの一冊。デュークでいきなり涙腺崩壊。かって飼っていたワンコたちの温もりが私にも戻ってきた。時々犬や猫の方がより心に沿うのはどうしてだろう。他の作品も気持ちの良い風に吹かれているような懐かしいような…でも主人公と一緒に悲しく切なくなったり、ぽんと放り出されたような淋しさを感じたり。薄い本のなかで広がる時間を楽しみました。2020/04/08
mntmt
28
再読。1989年初版。江國氏、25歳、初めての単行本。「デューク」は何度読んでもいい。「いつか、ずっと昔」「スイート・ラバーズ」なども、良いなあ。どこか儚げで、色っぽさがあります。2016/09/01
イノ
24
江國香織さんの処女作品集は非常に童話的。暗い背景もみずみずしい透明感が読者を引きつけ放さない。今後の活躍をなるほどと納得させられる原点を楽しめる。2018/01/08