目次
太陽のほとり(太陽のほとり;新年;初日が昇るとき ほか)
挨拶(挨拶;弔詞;崖 ほか)
表札(私の前にある鍋とお釜と燃える火と;島;峠 ほか)
石垣りんさんをたずねて
著者等紹介
石垣りん[イシガキリン]
1920年東京生まれ。14歳から銀行に勤めながら詩を書き続け、発表してきた
伊藤香澄[イトウカスミ]
岐阜県生まれ。(現)名古屋造形大学短期学部卒業。名古屋イラストレーターズクラブ会員。デザインプロダクションを経て、フリーとして主に広告・雑誌イラストを手掛ける
水内喜久雄[ミズウチキクオ]
1951年福岡県生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
59
美しい言葉。美しすぎない言葉。だからこそ、ありのままの事象を過不足なく表現しているように思えてしまうのだ。表現は自由である。誰しも好きなように表現していい。しかし、表現したものが必ずしも他者に伝わるとは限らない。さらに他者の心を揺さぶるとなると、なおさら難しくなってくる。そんな中で、石垣りんの言葉は気にかかるのだ。衣擦れの音のように、夜が明ける瞬間のように、ささいで、わずかなことが決定的な違いを生み出していると確信させる。純粋な言葉、純粋な意思といったものが、言葉の透明度を深くしているように感じてしまう。2013/03/03
とよぽん
32
中学校の図書室蔵書。3年生の国語の教科書に石垣りんさんの「挨拶」という詩が掲載されている。この詩集は水内喜久雄さんの選・著で、挿絵は伊藤香澄さん。趣のある味わい深い絵である。改めて、石垣りんさんの詩の底力、スケールの大きさ、生きとし生けるものへの愛情と信頼、そして連帯を感じた。それを、引き締まった言葉で紡いでいる詩だと感じた。何度も読みたい詩集である。2019/01/25
マリカ
18
石垣りんさんの詩は安定感があるなぁ。戦後を勤め人として生き抜いてこられただけあって、「生きる」ことに対して、力強さを感じます。彼女の作品の中に心の拠り所となるようなものがいくつも見つかりそうです。2012/03/17
メイロング
9
日常の言葉で日常を描く人。意味もわかりやすくて、詩の入門にはいい感じ。詩は、読んだ瞬間瞬間に弾ける香りのようなものがあって、十人十色でその感じ方は違ってくるもの。シンプルな形な分、それがよくわかる。「表札」が好き。あとがきも素晴らしい。2011/02/15
せらーらー
8
石垣りんは一家の大黒柱として働かざるを得なく、大勢を養うためにずいぶん苦労したというイメージしかなかった。しかし選者によって、こんなにもイメージが変わるのか。『くらし』という詩が、やはりインパクトがあり、先日読んだ『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』を思い起こさせた。父のはらわた。。。私たちは何かの命を食い繋ぎながらでないと、生きられない。そしてある意味、生命を将来へ繋いでいく『管』のようなものだ私たちは。その先、将来には何があって欲しいのか?石垣りんに問われているような気がする。2025/03/13