出版社内容情報
天につきささるトガリ山のてっぺんをめざして、小さなネズミの若者がぼうけんの旅に出る。絵と文でつづる長編絵本シリーズ。 小学校低学年~小学校中学年
内容説明
トガリィはトガリ山のでっぺんめざして出発した。風が吹く草原で出会ったのは、テントウムシのテント、一人前のシオカラトンボ、トノサマバッタのトノサマ、悲しい岩ザル、そして…。トガリネズミの若者トガリィの大ぼうけん物語。長編絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
170
出発の朝はいい天気だった。朝露に濡れた草むらに夏の太陽が…これが長い旅の始まりだった。トガリ山が生み出す大自然。いつも雲に隠れているてっぺんを目指す。初めての音が聞こえる。風ではない。深い谷の唸り声がしぶきと共に岩壁を駆け上がってきた。鉤爪は飛び去っていった。4羽のウソが言った。鳥でさえ行けないてっぺんには行けないよ。嘘ではないと。イワザルは何も言わずに涙をためていた。テンポよく物語は進む。多くの試練を乗り越えて大切なことに気づく。皆が元気じゃないと何かが欠けてしまうと誰も生きていけないんだと。第2話へ…2023/06/17
KAZOO
96
このシリーズの第2巻を先に読んでしまったので、1巻を借りてきて読みました。舞台が草原で自然に囲まれているので様々な昆虫や植物が出てきます。トガリネズミの一族の話でそのじいさんの冒険譚ということで、トノサマバッタに乗ったりあるいは猿のかたちのような岩についての話が楽しめます。イラストもいいですね。2018/01/19
ヒラP@ehon.gohon
26
息子が愛読していた図書だということで読み始めました。 いわむらかずおさんが絵と文章で作り上げる不思議な世界です。 トガリネズミの冒険ということでに、ネズミの視点から見たパノラマ感覚にわくわくしました。 擬人化した感覚と、動物、昆虫が持っている野生が不思議なワイルドさを出しています。 続刊が当然ながら気になります。2022/07/22
杏子
23
子どもが小さい頃にお世話になった、いわむらかずおさんの長編童話。意外と面白い(と言ったら失礼だけど)、トノサマバッタを頂いてしまったり、鳥に襲われかけたり、丸いものを首にぶらさげた生き物に追いかけられたり、とリアルな展開。絵はかわいらしいけど、話はメルヘンではない。トガリィじいさんと、てんとう虫のテントがトガリ山のてっぺんにたどり着くまで見届けたいような気がしてきた。2015/05/04
歩月るな
18
自分の読書の原点に返る企画(不定期)と言ってもアーノルド・ローベル辺りを除いたら定番ものばっかりになる。基本的には動物がメインのものばかり、その中で一際輝きを放っているのがこの作品。小さな動物には山一つでも世界そのものなのだ。冒険ロマンの原点。おじいちゃんの昔話という形式で語られ、子供たちの感想で幕間となる、この形式が実にハマっており癖になる。答えを知っている事を真実と受け取るばかりでは想像力の翼は萎えるのだ。弱肉強食、食物連鎖は人間の理論。道連れの相棒テントウムシのテントが斥候役もこなし良い調和を生む。2018/07/18