内容説明
ガダルカナル戦に投入された兵は約3万、うち、1万5千人が餓死した。その悲劇の原因は何であったか。本書は、軍の構造を執拗に追究し、同時に、ガ島と同じ状況が、飽食が声高に語られる現代の根底にあることも論証する。
目次
おびただしい死をつくりだしたもの
喰らわで死にしわが戦友よ
死なないうちにハエがたかる
食うな、食ったらくせになるぞ
「ひかりごけ」の世界
当番兵を餓死させる高級将校
そのあいだにもひとは死んでいく
補給ノ円滑ハ之ヲ望ムベカラズ
話のくずかご―註とその補足
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CBF
1
(★★★☆☆) ガダルカナル戦に投入された兵は約3万、うち、1万5千人が餓死した。その悲劇の原因は何であったか。ガ島と同じ状況が、飽食が声高に語られる現代の根底にあることを論証するー。 見通しの甘さから来る失敗が重なってどんどん悪循環に、という構造がよく分かった。 『たとえば、あなたが、いま、なんでもいい、このまま放っておいてはいけないと思うことがあったとして、そのために、あなたは、周囲から突出してまで、みすみす不利になることがわかっていても、それでもなにかをするだろうか、なにかができるだろうか?』2024/11/21
鉄刀木
0
海上護衛戦と合わせて読む形になった為、日本軍の補給軽視の考え方が目について、よくもまあこれで戦争をする気になったと思う。 カニバルをしなければ生き残れない状況になった時、実行するか…という、タブーながら切実な問いの前に対して、神を持たない日本人はより辛い選択が迫られると思う。理性的な説明ができない以上、「私は生きたい」というどこまでも自分本位の上に奮い立つしか、方法が無いのではないか、と今の段階では思う。2014/06/15
タカバル
0
重い鉄帽装具を捨て、飯盒のみを握り、動けなくなり、言葉をなくし餓死へと向かう人間の様が生々しく描写されている。 大東亜戦争におけるカニバリズムは確かに存在した。 極限の飢える戦場に身を置いたものでない限り、人を食べた者を責める資格は無いだろう。 想像を絶する世界である。2023/05/20